研究課題/領域番号 |
26400495
|
研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
原 英俊 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 地質情報研究部門, 主任研究員 (60357811)
|
研究分担者 |
栗原 敏之 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (10447617)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 黒瀬川帯 / ペルム系 / 砕屑性ジルコン年代 |
研究実績の概要 |
黒瀬川帯ペルム系砕屑岩に保存されている後背地の情報から,アジア大陸東縁におけるペルム紀島弧発達過程の解明を行うため,昨年度採取済み試料の分析を進めた. 四国中央部伊野地域周辺及び東部北川地域のペルム系付加体,弱変成岩及び浅海性層から採取した砕屑岩について,岩石学的記載,全岩化学分析,砕屑性ジルコン年代測定を行った.伊野地域では,ペルム系付加体(新改・土佐山ユニット),弱変成岩(伊野・上倉ユニット),浅海成層(市ノ瀬層)を対象にした.ペルム系付加体と浅海成層の砕屑岩は,長石に富む石質アレナイトを特徴とし,類似した岩相を示した.砕屑性ジルコン年代の最も若いピーク年代は,後期ペルム紀を示し,従来から報告されている化石年代とほぼ一致した.一方,弱変成岩については,付加体・浅海成層に比べ,やや長石に富み,最も若いピーク年代は中期ペルム紀を示した.これまで時代未詳であったが原岩年代は,中期ペルム紀として新たに評価された. 北川地域では,ペルム系付加体(檜曽根ユニット),弱変成岩(勘場谷ユニット),浅海成層(拝宮層群)を検討対象にした.このうち付加体及び弱変成岩の砕屑岩は,伊野地域の砕屑岩と岩相及びジルコン年代分布パターンはよく類似した.一方,浅海成層とされる拝宮層群からは,前期ジュラ紀の最も若いピーク年代が求められ,四国中央部の下部ジュラ系中ノ瀬層に対比されることがわかった.また檜曽根ユニットでは,前期三畳紀の最も若いピーク年代を示す砕屑岩が認められた.北川地域のペルム系では,地質年代の改定,地体区分の細分が今後求められる.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定していた分析を順調に終えることができた.特にジルコン年代測定により,各地質体における堆積年代の理解・整備が進んだ.
|
今後の研究の推進方策 |
砕屑岩の化学分析結果と砕屑性ジルコン分布を融合させデータ解析を進め,後背地の時間的変遷について検討を行う.また南部北上帯にて,広く分布するペルム系との比較を行うため,調査及び試料採取を行う.そして,地域差を考慮しながら東アジア縁辺における島弧発達過程の検討を行う.
|
次年度使用額が生じた理由 |
H28年3月に予定していた南部北上帯への調査を,H28年4月に延期したため.
|
次年度使用額の使用計画 |
4月に旅費として,使用を計画済み.
|