本研究は,後期白亜紀の放散虫化石群集から種毎の深度棲み分けの識別を行うことを目的として,日本(和泉層群・蝦夷層群)とオマーン(スヘイラ層・ザビアト層)の浅海・深海堆積物を対象に,群集の種構成差異の比較を行った.その結果,浅海堆積物には大型の平板状Spumellariaが卓越すること,および水塊構造の発達に伴う特徴的な種群の占有を確認した.また,表層種と判断された種群は,現生の表層生息種と同様な形態的特徴を有しており,生息環境への適応戦略としての形態収斂であることを示唆する.以上の結果は,化石群集から深度棲み分けの識別が可能であることを示す.
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