研究課題
北海道浦幌町活平付近に分布する暁新統活平層の1産地から産出した木片を含む石灰質団塊の炭素同位体比を測定したところ、泥質部が-2.8~-11.5‰と高い値を示したのに対し、木片や貝殻周辺では、-14.7~-19.5‰と低い値を示した。木片の穿孔痕外壁には黄鉄鉱も見られ、硫化水素が発生していたと考えられる。活平周辺の42産地から採集した沈木群集の貝化石を同定し、リストを作成した。次に、このリストに基づき、30個体以上採集した13産地の種多様性、均等度を産出した。その結果、種多様度(H')は最大3.45と始新世以降の冷湧水群集に比べて多様性が高く、均等度(J')も1.00に近い群集が認められた。一方、化学合成細菌に依存する種の個体数比は平均0.02と低く、泥食者である原鰓類の個体数比は平均0.13、植物起源のデトリタスに依存するモミジソデボラ科の個体数比は平均0.60と高いことが判明した。また、種多様度は原鰓類の個体数比と正の相関、モミジソデボラ科の個体数比と負の相関を示すことも判明した。これらから、木片周辺から硫化水素は発生したものの濃度は低く、植物起源のデトリタス食のモミジソデボラ科が優占しない、堆積物食者である原鰓類の多い群集では種多様度が高かったといえる。これまで報告されている白亜紀から漸新世の沈木群集と比較したところ、高次分類群の構成ではSpitsbergen島の暁新統Basilika層からHryniewicz et al. (2016)により報告されている沈木群集に類似していることが明らかとなった。また、この群集を含む暁新世の沈木群集中の化学合成細菌に依存する種についてみると、白亜紀と後期始新世以降に知られるハイカブリニナ属が見られず、後期始新世以降に知られるシンカイヒバリガイ属も見られないことが明らかとなった。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 4件、 査読あり 6件、 謝辞記載あり 4件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 2件) 備考 (1件)
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