北海道浦幌町の暁新統活平層の化石を検討したところ、古水深200から500mに生息した沈木群集であることが明らかとなった。この沈木群集中には白亜紀末の絶滅を生きのびた分類群が見られ、種多様性は始新世以降の冷湧水群集に類似するものの一部高い群集が見られた。また、始新世以降の沈木群集に比べて、産地ごとの種数は多い。さらに、白亜紀末の絶滅を生きのびた分類群は北太平洋地域では始新世以降認められていない。これらから、PETM(暁新世ー始新世温暖化極大事件)は、深海の沈木群集中のモミジソデボラ科の絶滅など大きな組成の変化を生じさせ、また種多様性を減少させるなど群集構造にも大きな影響を与えたといえる。
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