研究課題/領域番号 |
26400506
|
研究機関 | 北九州市立自然史・歴史博物館 |
研究代表者 |
籔本 美孝 北九州市立自然史・歴史博物館, 自然史課, 学芸員 (80359471)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 日本産魚類化石 / データベース / 分子系統 / タイプ標本 / 古生物学 / 分岐年代 |
研究実績の概要 |
国立科学博物館では、これまでの調査で存在が明らかになった壱岐産中新世淡水魚類化石標本群について詳細な調査を行った。壱岐産コイ科魚類のうち背鰭に太い棘状軟条を有するものに少なくとも4種が認められるが、そのうち2種が未記載であり、国立科学博物館に未記載の2種の標本がいくつか所蔵されていることが明らかとなった。また、今回の調査で、壱岐産ケツギョ科魚類に少なくとも2種が存在することが明らかとなった。そのうちの一種はケツギョ属の未記載種で、3個体が確認された。もう一種はオヤニラミ属に属するものと考えられ、今後詳細な比較検討が必要であるが、既知種であるCoreoperca maruoiとは異なる可能性がある。 岡山県新見市産中新世サバ科魚類化石について岡山理科大学で調査を行った。また、熊本県御所浦産白亜紀のイクチオデクテス目未記載種については新たに系統解析を行い、原稿のとりまとめを行った。 研究成果の公表では、シナミア属魚類の再検討についてPaleontological Researchで公表した。本論文では、2014年に記載したSinamia kukurihimeも含めたシナミア属全種の識別的形質を検討し、6種の識別的形質を改訂した。さらに分岐解析の結果からシナミア属魚類と現生のアミアの長い背鰭基底は収斂であることを示し、シナミア属魚類の背鰭基底の長さによる棲息環境の違いについて仮説を提唱した。また、岡山県新見市産サバ科サワラ族魚類について、日本古生物学会で発表し、北九州市立自然史・歴史博物館研究報告で公表した。本論文では、本種がカマスサワラ属の未記載種である可能性と絶滅属(新属)に属する可能性について言及した。また、北茨木市下部中新統亀ノ尾層から産出したサバ科サワラ族魚類について、など日本古生物学会で6つの発表をおこなった。 日本産魚類化石データベースについては、原記載論文を収集し、それに基づいてデータベースの入力を引き続き行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
国立科学博物館所蔵の壱岐産魚類化石について調査を実施することができた。また、研究の公表については、3つの論文を発表し、6つの学会発表を行った。 日本産魚類化石データベースについてもほぼ予定どおりであり、文献のpdf化も継続して行うことができた。
|
今後の研究の推進方策 |
これまでに蓄積した日本産魚類化石データベースを解析・総括し、公表に向けて準備を行う。さらに本データベースと分子系統学的研究をあわせて解析し、それぞれの分類群の分岐年代等について考察を加える。 研究成果の公表では、日本古生物学会2017年年会で日本産魚類化石の研究に関するシンポジウムを開催する。さらにタイで開催されるThe 7th International Meeting on Mesozoic Fishesで日本産中生代魚類化石に関して発表を行う。また、少なくとも4編の新種記載論文を投稿予定である。
|