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2014 年度 実施状況報告書

組織解析と局所化学分析を用いた同化作用の実態解明

研究課題

研究課題/領域番号 26400517
研究機関高知大学

研究代表者

川畑 博  高知大学, 教育研究部 総合科学系, 講師 (90392943)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワードパイロ変成作用 / 部分溶融 / 同化作用
研究実績の概要

平成26年度は、野外調査のほか、偏光顕微鏡、X線分析顕微鏡、FE-SEM/EDSを用いた岩石組織観察と鉱物化学組成分析、蛍光X線分析装置を用いた全岩化学組成分析を行った。研究対象としたのは部分溶融過程を保存している花崗岩、泥質変成岩ゼノリスである。ゼノリスの原岩と予想される領家花崗岩・変成岩についても代表的なサンプルを採取した。以下には、新鮮なガラスをもつ花崗岩ゼノリスに関して得られた結果をまとめる。
香川県江甫草山に露出する瀬戸内安山岩中には、最大で60cmに達する花崗岩ゼノリスが局所的に存在する。ゼノリス内部では、石英と接する結晶粒界から溶融が始まっており、低部分溶融条件下では結晶粒界に沿って、気泡を含むガラスバンドが分布する。石英ー長石粒界には無色ガラスが卓越する一方、石英―マフィック鉱物間には褐色ガラスのほか、非調和溶融で生じた細粒自形の斜方輝石が存在する。なお、長石―マフィック鉱物間にはガラスバンドが見られない場合もある。鉱物粒子の外形は、部分溶融度が増加するにつれて、湾入部の卓越する形状から楕円状へと変化する。その際、斜長石ではコアに向かってsieve組織が発達してゆく。ガラス組成は不均質で、近傍の鉱物種に応じて組成が変化することから、非平衡溶融を被ったことが示唆される。
部分溶融ゼノリスは、厚さ数10 cmの黒曜石部を介してホスト安山岩と接する。黒曜石部は、花崗岩の溶け残り鉱物を含む斑状ガラス質の岩石で構成され、石基には細粒の針状輝石が多数生じている。全岩化学組成分析の結果、黒曜石部が、花崗岩の部分溶融マグマとホスト安山岩質マグマの混合で形成されたことが明らかとなった。この結論は、黒曜石部に急冷周縁相を持つ安山岩質のmagmatic enclaveが含まれることからも支持される。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究計画で記載した事項をおおむね達成できているため。

今後の研究の推進方策

組織の定量化と化学組成分析を行い、これまでに得た情報をもとにゼノリス構成鉱物が分離~分散を開始する条件や、同化作用の時間スケールの見積もりを行う。最終年度には、これまでに得られたデータ、議論を集約して、論文を準備する。また、得られた途中経過およびトピック的な話題は、随時学会発表を行っていく。

次年度使用額が生じた理由

H26年、年度末の出張時に発生した高速料金(ETC)の支払いが完了しなかったため。

次年度使用額の使用計画

次年度使用額の8,127円分については、高速料金の支払いにあてる予定である。

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公開日: 2016-05-27  

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