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2015 年度 実施状況報告書

組織解析と局所化学分析を用いた同化作用の実態解明

研究課題

研究課題/領域番号 26400517
研究機関高知大学

研究代表者

川畑 博  高知大学, 教育研究部総合科学系複合領域科学部門, 講師 (90392943)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワード同化作用 / 非平衡部分溶融
研究実績の概要

本年度は、主に組織観察と鉱物・ガラスの化学分析を実施した。研究対象とした安山岩サンプルには、部分溶融した花崗岩ゼノリスが含まれる。花崗岩ゼノリスは、ホスト安山岩と直に接することはなく、両者の間に混合相が形成されている。さらに、混合相がホスト安山岩マグマと不均質に混ざりあったminglingの産状が、数mmから数10cmスケールで認められる。よって本サンプルでは、1)花崗岩ゼノリスの部分溶融、2)ゼノリス由来マグマとホスト安山岩質マグマとの混合(混合相形成)が生じ、さらに混合相とホストマグマとの間で均質化が進んでいると考えられる。なお、混合相の形成は、ゼノリスの部分溶融度が約50 vol%を越えた段階で生じたことが分かった。
ゼノリス由来の石英は、必ず単独でホストマグマへ分散していく。これは、部分溶融の初期段階で、石英の周囲が完全にメルトで覆われ、他の鉱物と完全に分離するからである。このことを利用すれば、ゼノクリストがホストマグマへ分散する機構を、ある程度推定できる可能性がある。ホストマグマ中に、石英ゼノクリストが単独相として存在する場合、その結晶は部分溶融を被ったゼノリスからもたらされた可能性が高い。一方、石英ゼノクリストが他の鉱物と集斑状をなす場合、それらの結晶は溶融をほとんど被っていないゼノリスの脆性破壊によってもたらされた可能性がある。
化学組成分析の結果、ゼノリス内に分布する不均質なガラス組成は、元素ごとの拡散速度の違いを反映していることが分かった。そのため、特にSiとAlにおいてガラス組成の不均質度が大きい。全岩化学組成のほか、ゼノリスおよび混合相の石基組成を用いることで、3つの組成変化トレンドを認識できることが明らかとなった。それは、ホスト安山岩の分化トレンド、ゼノリス内ガラスの拡散トレンド、混合相石基(ガラス±石基鉱物)の示すマグマ混合トレンドである。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究計画で記載した事項をおおむね達成できているため。

今後の研究の推進方策

化学分析を継続するとともに、ゼノリスの非平衡部分溶融時および、混合相の形成時に生じる組織変化を定量化することを目指す。また、これまでの研究で得られた知見をもとに考察を進め、論文の準備をする。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2015

すべて 雑誌論文 (1件) (うちオープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件)

  • [雑誌論文] 電界放出型走査電子顕微鏡(FE-SEM/EDX)を用いた珪酸塩鉱物の定量分析ースタンダードレス法の評価ー2015

    • 著者名/発表者名
      川畑 博
    • 雑誌名

      高知大学学術研究報告

      巻: 64 ページ: 181-192

    • オープンアクセス / 謝辞記載あり

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公開日: 2017-01-06  

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