同化作用は,マグマの多様性をもたらすプロセスの1つとして知られる.本研究では,安山岩に含まれる花崗岩類ゼノリスを対象とし,組織観察と化学組成分析に基づいて同化作用の進行過程を調べた.その結果,ゼノリスの非平衡溶融と,それに続くゼノリス由来マグマーホスト安山岩マグマの混合を経て,同化作用が進むことが明らかとなった.また,相平衡関係と熱移動計算の結果を考慮することで,ゼノリス内の温度分布と部分溶融度,マグマ粘性,岩石組織,ガラス・鉱物化学組成,鉱物の分離・分散様式とを関連づけた.これにより,同化作用時に生じる熱化学変化と岩石学的変化を包括的に理解することが可能となった.
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