研究課題/領域番号 |
26400522
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
深澤 倫子 明治大学, 理工学部, 准教授 (40409496)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ハイドロゲル / 氷 |
研究実績の概要 |
宇宙空間には大量の水が存在し、生命の発生源の一つとして注目される。水は条件に応じて様々な形態をとるが、星間分子雲中の水の場合にはアモルファス氷薄膜として存在する。星間分子雲では、アモルファス氷表面上で様々な分子の合成反応が起こると考えられているが、その表面構造については研究された例がほとんどなく、明らかではない。本研究では、乾燥ハイドロゲル中に残存する水がアモルファス氷様の構造を持つことに着目し、これを用いた新たなアモルファス氷生成法の確立を目指している。本年度は、試料生成用の低温真空チャンバーを作成し、このチャンバーを組みこんだラマン分光測定システムを構築した。このチャンバーを用いて真空乾燥したポリマーハイドロゲルを冷却することで、乾燥ゲル中に残存した水が氷薄膜を形成することを確認している。さらに、この氷薄膜のラマンスペクトルを測定し、フィッティング解析により分子振動状態を解析する手法を確立している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通りに研究が進展している。これまでの研究により、氷薄膜の生成法およびラマン分光法を用いた分子振動状態の解析法は確立できた。今年度は、さらに異なるポリマー種を用いて氷薄膜の生成を試み、氷薄膜構造のポリマー種が依存性を解析する。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究により、氷薄膜の生成法およびラマン分光法を用いた分子振動状態の解析法は確立できている。そこで、今年度は、異なるポリマー種を用いてハイドロゲルを生成し、この編目中に形成する氷薄膜の構造変化を解析する。使用するポリマー種としては、主鎖の構造がこれまで使用してきたpoly-N,N,-dimethylacrylamide (PDMAA)と同様で、側鎖の官能基のみが異なるポリマー(polyacrylamide 等)の使用を計画している。この実験の成果を基に、高分子の構造が氷薄膜の構造に及ぼす効果を明らかにしたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は、本研究費を使用して試料生成用の低温真空チャンバーを作成し、このチャンバーを組みこんだラマン分光測定システムを構築した。この測定システムの構築に時間を要したため、予定よりも使用した試薬の量が少なかった。このため、研究費に残金(98,405円)が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度は、主に試料生成に使用する試薬や液体窒素等を購入するための消耗品費として研究費を使用する予定でいる。また、その他の経費としては、得られた成果を国内外の学会で発表するための旅費や論文印刷費として使用したいと考えている。
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