本研究では,九州弧の火山が,沈み込むスラブからの流体の付加に起因する火成活動を起源とするか,あるいは沈み込むスラブや堆積物の溶融による火成活動を起源とするかを,ウラン-トリウム放射非平衡分析から検討した.45試料を分析した. 分析した火山岩は,(230Th/238U)が1に近く,放射平衡に近い試料が多い.(230Th/238U)が1.05より大きい試料は,鬼箕,阿蘇の一部,雲仙,福江島,開聞の一部に見られ,Tb/Yb比などが高い傾向があり,ザクロ石の存在下での融解が示唆される.流体の付加に起因する火成活動で見られる(230Th/238U)が1より小さい試料はほとんど存在しないようである.
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