研究実績の概要 |
現在大陸地殻が形成されていると考えられる伊豆・小笠原・マリアナ(IBM)島弧の花崗岩質岩から回収されたジルコン試料の酸素同位体比分析を行った。平成27年度に実施した、地球初期の大陸地殻試料・アカスタ片麻岩体のジルコン試料と酸素同位体比データを比較した結果、初期(約40億年前)のアカスタ片麻岩ジルコン試料の酸素同位体比変動の範囲がIBM島弧のジルコンと類似している事が明らかになった。 また、プレートの沈み込みに伴う物質循環との関連を調べるためには水やフッ素、硫黄等の微量揮発性元素濃度が有効である事から、これら揮発性元素の局所分析手法を確立し、結晶中のメルト包有物や急冷ガラス試料の揮発性元素濃度の分析に着手した。その他、ジルコン試料の微量元素(Li, Ca, Ti, REE等)濃度分析法と珪素同位体比の分析法を確立した。微量元素濃度や珪素同位体比分析に関しても、局所分析の標準試料として国際的に流通するジルコン結晶が存在しない事から、確立した分析手法を用いて均質性の高いジルコン結晶の吟味を行い、十分に均質性が確認された結晶試料の微量元素濃度と珪素同位体比をICP-MSを用いて定量分析を行い、局所同位体比分析用の標準試料を確立した。 これらの研究の成果のうち、揮発性元素の局所分析手法については論文で報告した(Shimizu et al., in press)。その他の成果については、平成28年度に国際会議4件、国内会議6件の発表を行い、平成29年度にも3件の国内会議発表を予定しており、論文発表に向けて原稿の作成を進めている。
|