研究課題/領域番号 |
26400534
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
前原 常弘 愛媛大学, 理工学研究科, 教授 (40274302)
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研究分担者 |
青野 宏通 愛媛大学, 理工学研究科, 教授 (00184052)
川嶋 文人 愛媛大学, 農学部, 寄付講座准教授 (60346690)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ナノ粒子 / 高周波プラズマ |
研究実績の概要 |
水中高周波プラズマにより金を中心とした金属ナノ粒子の生成を行う。水中高周波プラズマとは水中に挿入された電極に高周波(13.56MHz)を印加し、電極上に発生した気泡の中にプラズマを発生させる技術である。27年度は電極のスパッタをはじめ、金イオン還元にも取り組んだ。 1)金ナノ粒子の生成:金電極スパッタによる。基礎を固めるべく、ナノ粒子生成前後の電極先端部の変化を実体顕微鏡により観察した。電気伝導が小さい水溶液では電極先端部の溶解はあきらかで、電気伝導の大きい水溶液では電極の損傷は小さい。これらのことから、電気伝導の変化によって電極先端部に加わる高周波の損失が違い、それによってナノ粒子の生成量に変化が起きていることが明らかとなった。その他、エタノール水溶液を利用したナノ粒子生成にも取り組んだが、期待された炭素結合型の粒子は発見されなかった。 2)鉄ナノ粒子の生成:電極スパッタによる鉄ナノ粒子の作製であり、本年度は組成の分析にも取り組んだ。EDSから鉄酸化物であることが分かっていたが、電子線回折から主にマグネタイトであることが明らかとなった。これらの組成はpHには依存しない。 3)金ナノワイヤーの生成:金イオンのプラズマ還元による。プラズマのない状態でスパッタされた金属と過酸化水素による還元が観測されたため、電極金属の選定を行った。その結果、Zrが最適であることが分かった。 4)新方式に関する研究:2つの電極を絶縁板で分離し、絶縁板に貫通孔を設けることで、貫通孔に水中プラズマ発生させることができる。有限要素法を用いて、計算した結果、貫通孔に生じる気泡がキーとなっており、純水(0.2mS/m)においても食塩水(7S/m)においても気泡の側面部の電場強度が強くなることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
水中高周波プラズマにより金を中心とした金属ナノ粒子の生成を試みた。26年度は電極のスパッタを利用した金ナノ粒子の生成の他、磁性を含む粒子(鉄)を対象として研究を行った。 1) 金ナノ粒子の生成:電極スパッタによる方法。26年度はNaCl水溶液を中心に、ナノ粒子の作製を行い、イオン濃度に対する生成物の形状や粒径、生成量の依存性といった基礎的な事項について研究を行った。陰イオンがキーとなっていることを明らかになっている。27年度は基礎を固めるべく、ナノ粒子生成前後の電極先端部の変化を実体顕微鏡により観察した。水の電気伝導率のよって、電極の損傷が大きく異なり、ナノ粒子の生成量の違いの一因となっている。 2)金ナノワイヤーの生成:金イオンを有する水溶液中で、水中高周波プラズマを発生させたところ、金ナノワイヤーの生成が確認され、最適な電極材料が選定された。 3)磁性ナノ粒子の生成: 26年度には、鉄電極スパッタによるナノ粒子生成において、磁性を有するナノ粒子の作製が確認された。27年度はEDSから鉄酸化物であることが分かっていたが、電子線回折から主にマグネタイトであることが明らかとなった。 4)新方式に関する研究:2つの電極を絶縁板で分離し、絶縁板に貫通孔を設けることで、貫通孔に水中プラズマ発生させることができる。純水(0.2mS/m)から食塩水(20S/m)の範囲でプラズマの発生が可能。この方法でも金イオンを有する水溶液の還元により、ナノ粒子生成が可能であることが確認された。純水においても食塩水においても気泡の側面部の電場強度が強くなることが明らかとなった。
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今後の研究の推進方策 |
概ね、計画通りに研究を行っている。金ナノワイヤー生成の研究では、ナノワイヤーとその他の粒子との分離に手間取っており、研究にやや遅れが生じている。この部分に対応する研究費が未使用となっている。
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次年度使用額が生じた理由 |
概ね、計画通りに研究を行っている。金ナノワイヤー生成の研究では、ナノワイヤーとその他の粒子との分離に手間取っており、研究にやや遅れが生じている。この部分に対応する研究費が未使用となっている。
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次年度使用額の使用計画 |
ナノワイヤーとその他の粒子との分離を行い、この部分に注力する。
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