研究課題/領域番号 |
26400535
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
菊池 祐介 兵庫県立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00433326)
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研究分担者 |
永田 正義 兵庫県立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00192237)
福本 直之 兵庫県立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90275305)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | プラズマガン / パルス熱負荷 / 蒸気遮蔽効果 / ダイバータ / タングステン |
研究実績の概要 |
平成26年度は兵庫県立大学の磁化プラズマガン装置を用いて、ELM様パルスプラズマ生成と材料照射実験を行った。まず、高速パイロメータと高時間分解・多チャンネル可視分光器の開発を行った。高速パイロメータはパルスプラズマ照射時の材料からの輻射光を測定し、2線強度比較法により温度を算出するものであり、時間応答は数usである。また、8本の分岐光ファイバと可視分光器、マルチアノード光電子増倍管を組み合わせることで、パルスプラズマ照射時の蒸気層からの多チャンネル発光分光計測が可能となった。これらの計測器を用いて、アルミニウム(Al)、タングステン(W)へのパルスプラズマ照射時のプラズマ材料相互作用を実験的に調査した。その結果、Alの場合にはプラズマ照射によりAl中性原子線(Al I)が観測され、蒸気層が形成されていることがわかった。この時、カロリーメータにより測定した吸収エネルギー密度はWの場合の30%であり、熱緩衝効果が発現した。さらに、W基板(厚さ50 um)にAl薄膜(~2 um)を蒸着させた試料を作製し、パルスプラズマ照射時のW基板背面温度を開発したパイロメータにより行った。その結果、Al蒸気層の形成により、背面最高到達温度は2175 Kから1600 Kに低下した。熱伝導解析の結果、試料に吸収されるエネルギー密度が20%程度減少することが分かった。ITERダイバータではWダイバータ板上に第一壁から放出されたベリリウム(Be)が堆積することが予測されており、Be堆積層によりBe蒸気層の形成と熱緩和効果が発生する可能性が示唆された。これらの成果はITPA meeting(プラハ)、Plasma conference(新潟)等にて発表した。また、定常・パルス複合プラズマ照射実験に関して名古屋大学との共同研究およびオランダ基礎エネルギー研究所との国際共同研究を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本実験に重要となるパルスプラズマ照射時の材料表面温度計測器ならびに高時間分解分光器の整備が順調に進んだ。これらを駆使し、蒸気遮蔽効果を示唆する実験結果を得ることが出来た。新たに薄膜蒸着試料を実験に導入することにより、ITERダイバータにおいて第一壁のベリリウムがタングステンダイバータ上に堆積することがプラズマからダイバータへの熱伝達特性を変化させることを示した。得られた成果の報告も国内外の学会等にて順調に実施しており、その後、オランダ基礎エネルギー研究所との共同研究に発展させることができた。
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今後の研究の推進方策 |
計測器の開発・改良として、多チャンネル分光計測システムを2台に拡張することで、入射するプラズマからの発光と蒸気層からの発光を同時に同視線にて計測できるようにする。また、カロリーメータ計測と高速パイロメータによる温度計測を同時に実施できるように改良する。材料照射実験としては、入射プラズマのガス種やプラズマパラメータを変えたときの蒸気層の形成および遮蔽効果について調査する。蒸気遮蔽効果に関するモデリング研究と実験結果との比較についても検討を開始する。
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