研究課題
平成28年度も引き続き兵庫県立大学の磁化プラズマガン装置を用いて、ELM様パルスプラズマ生成と材料照射実験を行った。まず、8本の分岐光ファイバと可視分光器2台、マルチアノード光電子増倍管2個を用いた多チャンネル高速分光器を適用し、異なる発光線を同一視線同時に測定した。また、パルスプラズマ照射時の材料表面温度計測として、自作した高速2色パイロメータを適用した。次にITER第一壁に用いられるベリリウムがタングステン(W)上に堆積した状況を模擬するために、マグネトロンスパッタリング装置を用いてアルミニウム(Al)薄膜を堆積させたW試料を作製した。このAl薄膜コーティングW材にELM様パルスヘリウム(He)プラズマを照射した結果、Al中性原子線(Al I)が観測され、蒸気層が形成されていることがわかった。また、同一視線にてHeイオン線(He II)も測定したところ、プラズマ照射直後にAl Iは材料最表面にのみ発生していることが明らかとなった。その後、プラズマ圧力が低下するとともに、Al Iが強く発光した。さらに、He IIとAl I発光の時間発展を調べたところ、両者に逆相関の振舞いがあることが分かった。発光分光計測に加え、高速2色パイロメータによりAl薄膜コーティングW材の背面から温度計測を行ったところ、Al薄膜によりW材へ吸収される熱負荷が30%程度低減されることが分かった。このように、蒸気遮蔽効果と呼ばれる現象を定量的に評価することができた。これらの成果は第22回PSI会議(イタリア・ローマ)における招待講演、ITPA meeting、プラズマ・核融合学会年会等にて発表した。
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Nuclear Fusion
巻: 57 ページ: 066028
10.1088/1741-4326/aa67ad