研究課題/領域番号 |
26400538
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研究機関 | 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 |
研究代表者 |
宮戸 直亮 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 核融合研究開発部門 六ヶ所核融合研究所, 研究主幹 (80370477)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 非局所応答 / マルチスケール / 磁化プラズマ |
研究実績の概要 |
これまで2つの相補的なモデル、(1)密度、磁力線方向のイオン流速、静電ポテンシャル、磁場ポテンシャルの4場モデル+密度ソース、(2)磁力線方向のイオン流速、イオン温度、静電ポテンシャルの3場モデル+温度シンク、に基づくトカマクプラズマのシミュレーションを行い、イオン温度勾配(ITG)駆動乱流が、プラズマの端領域に外部から与えられた過渡的なソース/シンクによる長波長の揺動を散逸し、4場モデルのシミュレーションで観測されたような非局所応答を妨げることを明らかにしていた。 平成27年度は、上記2つのモデルを包含する5場モデル(4場+イオン温度)で、過渡的な密度ソース、温度シンクの両方を与えるシミュレーションが可能となるようにコードを拡張し、その拡張コードを用いてプラズマのベータ値(=プラズマ圧力と磁場の圧力の比)を変化させたシミュレーションを行った。詳細な解析の結果、ベータ値を0%から0.5%まで大きくすると、ITG乱流が弱まり(揺動エネルギーが半分程度まで減少)、ソース/シンクで与えられた長波長揺動の散逸も弱まるものの、4場シミュレーションで見られるような非局所応答は起きなかった。 一方、4場+電子温度という別の5場モデルに基づくコードも開発した。このモデルではITG乱流は励起されず上記のものと対照的なシミュレーションが可能である。過渡的な密度ソースと電子温度シンクを与えるシミュレーションを行い、中心付近で過渡的に電子温度が上昇するという非局所応答が見られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画していた5場モデルコードの拡張とそれによるシミュレーションは予定通り実施できているため。
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今後の研究の推進方策 |
5場モデルのシミュレーションをより幅広いパラメータ空間で実施し、乱流と非局所輸送についてのより詳細なデータを収集し、解析していく。さらに理論モデルの研究も進め、当初計画の5場モデルを超えたモデルの探求も行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
2016年2月から3月の期間に、ドイツのマックス・プランク研究所を訪問し、プラズマ乱流の理論シミュレーション研究を行っている研究者と、理論モデルの拡張やシミュレーションに関する議論と情報交換を行う予定であったが、双方のスケジュールが合わず、次年度に延期したため、旅費に大きな次年度使用額が生じたものである。
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次年度使用額の使用計画 |
年度の早い時期(5月~6月)に延期したドイツ、マックス・プランク研究所訪問旅費に40万円、研究代表者および連携研究者の学会参加のための旅費や参加費で40万円、研究打ち合わせなどの旅費に10万円、論文出版費、データ保存用機器や参考文献などの購入で15万円を計画している。
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