電子温度のダイナミクスを含めた簡約化電磁流体(RMHD)コードを用いて、トカマクプラズマの周辺領域に過渡的な電子温度のシンク(コールドパルス)を与えるシミュレーションを行い、中心付近の電子温度が上昇するという非局所応答が見られた。これについて解析を進め、安全係数が2の半径を中心に形成される磁気島構造が非局所応答に影響を与えることを明らかにした。また、ランダウ流体コードを用いた大域的なシミュレーションで、非局所応答を引き起こしうる過渡的なソース/シンクのポロイダル面における位置を変化させたところ、ソース/シンクにより時間的に振動する帯状流を励起することができたものの、微視的乱流を抑制するまでには至らなかった。 環状プラズマの非局所応答を引き起こしうる巨視的な揺動と微視的乱流との相互作用を明らかにするため、これまで微視的な揺動に主眼が置かれていた運動論モデルを、巨視的な揺動も取り扱えるように拡張した。この拡張では、単一荷電粒子運動の相空間ラグランジアンに対しリー変換による摂動解析を行うという、現代的な手法を用いた。摂動解析では高次の計算が必要で、微分方程式に対して摂動解析を行う伝統的な手法は計算が複雑になり、系の保存量も自明ではないが、この現代的な手法では、様々な保存量をネーターの定理で導くことができる利点がある。 さらに、シミュレーションでよく用いられる案内中心(ジャイロ中心)の熱ソース/シンクについての理論的考察も行い、案内中心熱ソース/シンクが案内中心密度に影響を与えなくても、粒子フラックスを生み出し、密度分布を変化させうることを明らかにした。
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