研究課題
イミダゾリウム系イオン液体1-ethyl-3-methylimidazolium bis(trifluoromethylsulfonyl)amide (C2mimTFSA)に対してSPring-8においてN原子K吸収端の軟X線吸収(XAS)及び発光(XES)スペクトルを測定した。スペクトルは分離状態のC2mim+とTFSA-を仮定した密度凡関数理論(DFT)計算で再現することができた。このことは、陽イオンと陰イオンの静電的相互作用がN原子の電子構造に影響するほど強くないことを示唆している。これらの結果をJ. Phys. Chem. Bで報告した。C2mimTFSAとジメチルスルホキシド(DMSO)との混合溶液に対してO原子K吸収端のXAS及びXES測定を行った。DMSO濃度増加によりDMSO O原子の発光ピークが約0.2 eV高エネルギーシフトした。これはイミダゾリウム環H原子とDMSO O原子との水素結合形成によると考えられ、水素結合形成による電子構造変化をDFT計算から解釈している。電子スペクトル測定によるC2mimTFSA中でのNi2+と分子性液体DMSO,メタノール,アセトニトリルとの安定度定数の決定については、精度向上と平成27年度の結果の検証を目的として温度範囲25-45 ℃の5温度で再測定を行った。最終結果としてDMSO > アセトニトリル > メタノールの順番で安定な錯体を形成することが明らかになった。DMSOの高い電子供与性とメタノール分子同士の水素結合形成が寄与していると結論した。また、配位子がエタノールの場合、Ni2+錯体の安定度がわずかに増加した。エタノールの電子供与性がメタノールより若干高いことが寄与している。さらに、オクチル基を有するC8mimTFSA中でのNi2+とアセトニトリルとの錯形成は、C2mimTFSA中よりも安定であることがわかった。
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