研究実績の概要 |
粉末X線回折により、メタンと同様の四面体構造のハイドロフルオロカーボン(CH3F, CH2F2, CHF3, CF4)のみをゲスト分子として包接する、メタンと同様のI型構造を形成するハイドレート試料の粉末X線回折による 精密構造解析を実施した。 CH3F, CH2F2, CHF3がゲストの場合、分子サイズはメタンと比較して大きいにも関わらず、いずれもメタンとほぼ同じ単位胞サイズであった。この結果は、これまでに報告されている単位胞サイズとゲスト分子サイズの比例関係と異なる結果であった。CF4がゲストとなると、単位胞サイズは優位に大きくなることが、明らかとなった。ケージ占有率に関しては、CH3Fはメタンと同様に大小ケージをほぼ100%占有するのに対し、CH2F2とCHF3は大ケージの100%占有と一部の小ケージを占有、CF4では大ケージのみを占有するといった、ゲスト分子サイズに依存し、小ケージの占有率が減少する傾向が示された。さらに、これらゲスト分子は、ケージ中でのゲスト分子の平均分布位置が、ゲスト中のフッ素原子の数に応じた異方性が示され、単位胞サイズとゲスト分子の関係は単純なものではなく、ケージを構成する水分子とゲスト分子との相互作用に大きく依存することが初めて、実験的に示された。 低温型位相コントラストX線CT測定に関しては、昨年度と同様に、常圧下においても+4℃まで安定に存在可能なテトラハイドロフラン(THF)ハイドレートを用い、同一の試料の温度変化過程のイメージング実験を実施した。-20℃(氷と共存状態)と+3℃(水と共存状態)でのその場観察を行った。密度標準試料として、シリカビーズ、バルク氷も併せて測定することにより、同手法の密度分解能の評価とダイナミックレンジの評価を行った。
|