研究課題/領域番号 |
26410033
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研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
小川 智 岩手大学, その他部局等, 理事 (70224102)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ナノ界面空間制御 / 自己組織化単分子膜 / 有機薄膜トランジスタ / 有機エレクトロルミネッセンス / 有機薄膜太陽電池 |
研究実績の概要 |
有機TFT,有機EL,有機PVデバイスのいずれの伝導チャンネルも異種物質が接合したナノ界面空間近傍の問題であることに着目し,積極的に電子移動をする分子,すなわち電荷移動型自己組織化単分子を化学合成し,ナノ界面空間に電荷移動型自己組織化単分子膜(SAMs)を形成することにより,伝導チャンネルのキャリアー密度を飛躍的に向上させようと検討を継続している。前年度に高効率で合成経路を確立したドナー型電荷移動型自己組織化単分子については,融点,赤外吸収スペクトル,紫外可視吸収スペクトル,核磁気共鳴,質量分析,および元素分析により構造を確定した後,膜形成に必要な量確保のために大量合成を実施した。十分な量の合成に至った標的分子である電荷移動型自己組織化単分子をシリコン酸化膜基板に溶液法により電荷移動型自己組織化単分子膜(SAMs)を作製し,その膜構造を,接触角,斜入射X線構造解析,X線光電子分光等の手法を用い決定した。また,SAMsの形成段階についても前記手法により観測し,最適な膜形成条件を確立した。膜形成段階における課題は,①電荷移動型自己組織化単分子を溶解する溶媒の選定,濃度,②そこへ基板を浸漬する温度,時間,③その後の基板の処理条件等,多くの要因が存在するため,条件検討を重ね,最適なSAMsの精密構造制御を達成した。また,理論的に得られる電子移動能と電気化学的手法により実験的に得られる値との相関を検証し,当初の設計通りの機能を有することを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究が当初の計画通り進まない場合があるとすれば,分子設計に基づく自己組織化単分子が自己組織化単分子膜(SAMs)を形成しないことが考えられるが,特に問題は生じていない。したがって,本研究は,当初計画通りに進捗していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
今後も,当初計画に基づき本研究を進捗させる。平成28年度は,電荷移動型自己組織化単分子膜(SAMs)を用いた有機電子デバイスの試作へと研究を進める。
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