シクロパラフェニレン(CPP)は、近年ボトムアップ合成法が報告されたのを契機として、その化学が大きく進展している。しかし、研究開始当初、フラーレンC60および(5,5)アームチェアカーボンナノチューブの環状構成単位である[5]CPPの合成は達成されていなかった。そこで、本研究では、[5]CPPの初めての合成を目的とし、その合成を達成した。さらに、紫外可視吸収スペクトル、電気化学測定より[5]CPPがC60に匹敵する狭いHOMO-LUMOギャップを有していることを明らかにした。このことは、[5]CPPが材料開発における新しいリード化合物となる可能性を示していると考えられる。
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