研究課題/領域番号 |
26410047
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
鈴木 健之 大阪大学, 産業科学研究所, 准教授 (10262924)
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研究分担者 |
朝野 芳織 大阪大学, 産業科学研究所, 助教 (00311762)
周 大揚 大阪大学, 産業科学研究所, 助教 (00324848)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | Tishchenko / ラクトン / イリジウム / 非対称化 |
研究実績の概要 |
Tishchenko反応は1887年にClaisenに発見された反応であり、数多くの報告がされている。我々は室温で進行し、最も基質一般性のあるTishchenko反応を報告した(synlett,2005,1450)。しかし、その応用としてメソジアルデヒドの分子内不斉Tishchenko反応の成功例はなかった。そこで、メソ1,2-ジアルデヒドを基質に用い、分子内不斉Tishchenko反応を検討した。触媒、溶媒、添加剤等種々条件検討を行った結果、不斉収率90%を超えて目的とするラクトン1が得られる系を見出した。これは世界初の分子内不斉Tishchenko反応の成功例である。さらに対応する1,4ジオールを基質として酸化的ラクトン化反応の条件に付したところ逆の絶対配置を有するラクトン体が得られることが分かった。すなわち同じ絶対配置を有する不斉触媒を用いても反応をTishchenko型にするか酸化的ラクトン化にするかにより、絶対配置の逆のラクトンを合成可能なことを意味する。逆の絶対配置の不斉配位子が入手困難な場合に、この反応の相補性を用いることで目的物の絶対配置を制御できる。Tishchenko型反応は最初の段階で還元過程から進行し、光学活性ヒドロキシアルデヒド、続く光学活性ラクトールを経由し最後にラクトンを与える。一方、酸化的ラクトン化反応の最初の段階では酸化過程から始まるため、先とは逆の絶対配置の光学活性ヒドロキシアルデヒドを与え、最終産物のラクトン体の絶対配置も逆になると考察される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
世界初の不斉Tishchenko反応に成功した。徹底的に反応条件を検討することで、不斉収率も90%を超える系を見出した。また酸化的ラクトン化反応との比較検討することで反応の相補性を見出したから。
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今後の研究の推進方策 |
反応の基質一般性を検討する。また得られたラクトン体の有用性を示すために有用生物活性化合物の合成に展開する。
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次年度使用額が生じた理由 |
他の研究資金を獲得できたため、消耗品、旅費を節約でき、最終的に余剰金が出た
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次年度使用額の使用計画 |
今年度の物品費、成果発表の旅費に使用する。
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