研究課題
高効率・高選択的光化学反応の開発を目的として、フロー系マイクロリアクターを用いる分子内光環化付加反応による新規ヘテロ環化合物の合成を行った。フロー系マイクロリアクター(1mmφ、長さ2-5 mのフッ素化されたエチレンプロピレンポリマー(FEP))チューブを用いて、バッチ型反応器(10 mmφPyrexガラス管)と比較検討した。(1)1-シアノナフタレンの4位にエチレングリコールユニット(n=1,2)でビニロキシ基を連結した化合物のベンゼン溶液に313 nm光を照射すると、n=1の場合、分子内で光環化付加した化合物が生成した。フロー系マイクロリアクターを用いると、バッチ型容器に比べて、極めて速やかに反応が進行した。この付加体はナフタレン環の1,2-位で[2+2]環化付加したシクロブタン化合物と推定した。しかし、n=2の場合、長時間光照射しても反応は進行せず原料を回収した。(2)1-シアノナフタレンの2位にプレニル基を-CH2N(Ts)- (Ts = p-メチルフェニルスルフォニル基)で連結した化合物を(1)と同様にフロー系マイクロリアクターで光照射すると、ナフタレン環の1,2-位で[2+2]環化付加した含窒素化合物が速やかにほぼ定量的収率で生成した。バッチ型反応器で反応させると、反応がかなり遅くなり、逆反応による出発物質への戻りとともに複数の構造未決定のものに変化した。(3)N-(o-クロロベンジル)アニリン、N-(o-クロロベンジル)-1-アミノナフタレンおよびo-クロロベンザルアニリンのアセトニトリル溶液にトラップ剤としてNaOHを少量加えてフロー系マイクロリアクターで光照射したが、目的とするフェナンスリジンおよび関連するヘテロ環化合物を現時点で単離することができなかった。
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DOI: 10.1002/ajoc.201600570R1
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