研究課題
架橋炭素を全く含まない環拡張ポルフィリンであるシクロ[n]ピロール類は2002年にJ. L. Sessler らによって初めて合成され、n = 6および7の誘導体合成が報告された。彼らはさまざまなグループとの共同研究により、ジプロトン化ジカチオンの強いアニオン配位能や、液晶分子、半導体特性など興味深い物性を報告しているが、誘導体合成はその合成的困難さから積極的には取り組まれていない。π拡張や核置換などのさまざまな誘導体を合成することで、新しい物性や卓越した機能を見いだされることが十分に考えられる。π拡張シクロ[n]ピロールとして、オキソカーボン酸をテンプレートとすることで選択的にシクロ[10]ピロールを合成し、単離し、X線結晶構造解析により構造を明らかした。分子の骨格と共役拡張、吸収波長の関係を、吸収スペクトルやX線結晶構造解析、MCDスペクトルの測定およびTD-DFT計算を用いて芳香族性や電子構造の考察から明らかにした。また、シクロ[8]ピロールの中心アニオンを抽出し、交換する反応により、サンドイッチ型POM錯体を得ることに成功した。その構造をX線結晶構造解析により明らかにした。同様のアニオン交換反応によりホスホン酸錯体およびオキソカーボン酸塩を得ることに成功した。このほかπ拡張ジチアアメチリンおよびオクタフィリン(1.0.1.0.1.0.1.0)などの環拡張ポルフィリン類および近赤外領域に吸収をもつπ拡張ポルフィリン類を合成した。ターピロール類を合成し、核置換およびシクロ[3n]ピロール類の合成を検討した。これらの成果について3件の論文が受理され、7件の学会発表、1件の招待講演を行った。
すべて 2016 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件) 備考 (1件)
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http://chem.sci.ehime-u.ac.jp/~orgchem1/index.html