研究課題
研究計画に従い,DNA分子との相互作用,マウス実験,誘導体合成に取り組んだ.まず錯体薬剤のDNAとの配位結合性を評価するために,紫外可視吸収スペクトルの測定により,薬剤錯体とグアノシン三リン酸との相互作用を追跡した.その結果,錯体とDNAユニットとの配位結合に基づくスペクトル変化が明確に観測され,特にパラジウム錯体が白金錯体よりも速く加水分解を受けることで,高い配位特性を有することが予想された.そこで抗がん効果について,作用機構の観点から錯体の加水分解速度を測定することにより評価を行った.UV-vis吸収スペクトルの経時変化を追跡したところ,300 nm付近のピークが時間とともに消失していく様子が確認され,パラジウム錯体の方が白金錯体よりも速く加水分解を受けることが明らかとなった.このような事実は一般的にパラジウムが加水分解を受けやすいことからも納得のいくものであった.これに基づきマウス実験を行ったところ,白金錯体の方が良好な抗がん特性を示した.これは細胞レベルでは阻害するものが無いのに対し,動物実験では種々の体内構成分子によるトラップがあるためと推察される.しかしながら,国立がんセンターに依頼し,転移がんに対する効果を調べたところ,パラジウム錯体では高い転移抑制効果を示すことが分かった.これらに事実は本錯体薬剤が,がんに対する分子ターゲッティング能を有している可能性があることを示しており,実用化研究に大きく踏み出した.
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (9件) (うち国際共著 1件、 査読あり 9件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (6件) 備考 (1件)
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