本研究ではスピンクロスオーバーや電荷移動スピン転移を、球状骨格をもつ固体分子ローターの回転運動によって制御することを目的として研究を行い、以下の成果を得た。(a) モデル錯体として、シンプルな単核錯体にローター配位子(キヌクリジンおよびその誘導体)が直接配位した錯体を合成し、およびその固体内分子運動の励起・緩和挙動について詳細な検討を行った。(b)モデル錯体(a)の検討で用いた合成法を応用して原子価互変位性を示すコバルト錯体に対してローター配位子(キヌクリジン)を導入し、結晶構造解析により常温でローターが回転運動していることを確認した。低温相の構造については引きつづき検討中である。
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