研究課題/領域番号 |
26410066
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
上野 圭司 群馬大学, 大学院理工学府, 教授 (20203458)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | シラノン錯体 / 反応性 / 酸化反応 / ヒドロシロキシ錯体 / タングステン |
研究実績の概要 |
シリル(シラノン)錯体Cp*(CO)2M(O=Si(DMAP)Mes2)(SiMe3) (1:M = W, Cp* = η-C5Me5, DMAP = 4-(ジメチルアミノ)ピリジン,Mes = メシチル基; 2: M = Mo)とクロロシラン,メタノール,および水との反応を検討した。クロロシランEtMe2SiClとの反応では,シラノンのSi=O結合にSi-Cl結合が付加したクロロジシロキサンEtMe2SiOSiMes2Clが,錯体1からは8%, 錯体2からは69%で生成した。メタノールとの反応では,シラノンのSi=O結合にO-H結合が付加したメトキシシラノールMeOSiMes2OHおよびW-SiMe3結合が加メタノール分解されて生成したメトキシシランMeOSiMe3が,いずれの錯体を用いた場合もそれぞれ50~80%で生成した。錯体1と水との反応では,シラノンにOHとSiMe3が取り込まれたジシロキサノールMe3SiOSiMe2OHが収率82%で生成した。一方,錯体2の反応では,ジシロキサノールに加えて,シラノンのSi=O結合に水のO-H結合が付加したシランジオールMes2Si(OH)2が,それぞれ収率7%および86%で生成した。 陽イオン性シラノン錯体の合成を目指して,原料錯体であるヒドロシロキシタングステン錯体Cp*(CO)3W(OSiMes2H) (3)の合成に成功した。また,3からのトリチル陽イオンによるヒドリド引き抜き反応を検討した。反応をアセトニトリル中で行ったところ,期待したヒドリド引き抜きは起こらず,代わりにトリチル陽イオンによる3の酸化反応が起こった。生成物を単離・同定した結果,得られた錯体は3が2電子酸化され,アセトニトリルが配位したジカチオン錯体であることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
H26年度の研究計画に従って,シラノン錯体の合成,反応機構の検討,反応性の検討,および塩基の配位していないシラノン錯体の合成検討を行い,これらについては順調に進行した。特に反応性の検討では,期待以上の興味深い結果が得られた。また,H27年度以降に計画していた新たなシラノン錯体合成方法の開拓にも着手し,原料錯体であるヒドロシロキシ錯体の高収率な合成に成功した。得られた錯体を用いて,H28年度の研究として計画していたヒドリド引き抜き反応を行った。その結果,シラノン錯体は得られなかったものの,珍しい2電子酸化反応が起こることを明らかにすることができた。以上の事から,当初計画以上に研究が進展していると判断している。
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今後の研究の推進方策 |
H27年度は,H26年度の研究を継続し,シラノン錯体の合成,反応性の解明を行う。H27年度以降の計画としていた研究に新規シラノン錯体の合成研究については,すでに開始し,成果が出ているが,これらについてもさらに発展させる。
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次年度使用額が生じた理由 |
H26年度の研究計画,さらにはH27年度以降の研究計画分についても前倒しで研究を行い,研究費を使用したが,最終的に繰り越しが発生した。これは,本年度の研究が当初予定していた以上に順調に進んだこと,およびガラス器具類などの破損・消耗や試薬類の使用量が想定以上に少なく,その結果として本年度の支出が少なくなったためである。
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次年度使用額の使用計画 |
本年度の繰り越し分は,平成27年度予算と合わせて,錯体合成に必要な試薬類,ガラス器具類等の消耗品の購入に使用する予定である。
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