研究課題/領域番号 |
26410066
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
上野 圭司 群馬大学, 大学院理工学府, 教授 (20203458)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | シラノン錯体 / 反応性 / 酸化反応 / ヒドロシロキシ錯体 / 溶媒効果 |
研究実績の概要 |
昨年度,ベンゼン溶液中で,シリル(シラノン)錯体Cp*(CO)2M(O=Si(DMAP)Mes2)(SiMe3) (1:M = W, Cp* = η-C5Me5, DMAP = 4-(ジメチルアミノ)ピリジン,Mes = メシチル基; 2: M = Mo)とクロロシラン,メタノール,および水との反応を明らかにした。今年度は,溶媒の違いによる差を検討するため,アセトニトリル中での反応を行った。 クロロシランEtMe2SiClとの反応ではシロキシクロロシランEtMe2SiOSiMes2Clが生成する。ベンゼン溶液中では反応完結に,錯体1は9日間,錯体2は30時間を要したが,アセトニトリル中では加速され,反応時間はそれぞれ2日間,8時間であった。また,錯体1ではシロキシクロロシランの収率が8%から40%に大きく改善した。 メタノールとの反応では,反応速度および生成物の収率は,ベンゼン中とほぼ変わらない結果となった。 水との反応はベンゼン中でもアセトニトリル中でも約5分で終了したが,生成物分布に大きな差が見られた。すなわち,錯体1と水とのベンゼン中での反応ではジシロキサノールMe3SiOSiMe2OHのみが生成したが,アセトニトリル中ではシランジオールMes2Si(OH)2が主生成物であった。一方,錯体2のベンゼン中での反応では主生成物としてシランジオールが生成したが,アセトニトリル中ではシランジオールとジシロキサノールが生成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
H26年度の計画の継続およびH27年度の計画に従って,シラノン錯体の合成,反応性およびその機構の検討を行い,研究は順調に進行した。反応性の検討では,予想していなかった溶媒により反応性が異なるという結果が得られた。その原因を探るため理論的研究を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
H28年度は前年度までの研究を継続し,シラノン錯体の合成,反応性の解明を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
H27年度の研究は予定通り進行し,研究費を使用したが,最終的に繰り越しが発生した。これは,当初配分に加えてH26年度からの繰り越しがあったこと,ガラス器具等の破損や消耗,試薬類の使用量が予想以下だったためである。
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次年度使用額の使用計画 |
本年度の繰り越し分はH28年度予算と合算し,錯体の合成に必要な試薬類・器具類等の購入および国際・国内学会参加のための旅費に使用する。
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