研究実績の概要 |
Ar雰囲気下,CH2Cl2中,[Ir(H)2(PPh3)2(Me2CO)2]BF4と2,2':6'2''-terpyridine (terpy)を反応させると,[Ir(H)2(PPh3)2(terpy)]BF4の黄色結晶(1)と赤色結晶(2)が得られた。一方CHCl3中,[Ir(H)2(PPh3)2(Me2CO)2]PF6とterpyを反応させると,[Ir(H)2(PPh3)2(terpy)]PF6の黄色結晶(3)が得られた。X線構造解析の結果,錯体1と3はIr(III)イオンに2つのPPh3,2つのヒドリド,terpyの3つN原子うち2つのN原子がキレート配位した配位不飽和サイトを有する6配位単核Ir(III)-H2/terpy錯体であることがわかった。また,錯体2はIr(III)イオンに2つのPPh3,2つのヒドリド,terpyの3つのN原子がキレート配位したピンサー型構造を有する珍しい7配位単核Ir(III)-H2/terpy錯体であることがわかった。錯体1~3はいずれも2150 cm-1付近にヒドリド由来の赤外吸収を与え,また,錯体1は配位したヒドリド由来の2つの1H NMRシグナル(-19.6,-20.4ppm)を与えた。配位不飽和サイトを有するIr(III)-ヒドリド錯体配位子1と3を用いて,Ag(I)-Ir(III)混合金属配位高分子の合成を試みた。
|