本研究課題では、狭いエネルギーギャップに基づく近赤外領域の光吸収特性を示す、ホール輸送性のチエノイソインジゴ(TII)ポリマーを合成した。このTIIポリマーに特徴的な長波長吸収は、TIIユニットのキノイド構造に由来する。さらにTIIユニットの窒素原子に水素原子を残した、新規の合成法を開拓した。水素原子を残したTII分子は、分子間の水素結合により、密にパッキングした2次元的伝導パスを形成する。この結果水素原子を残したTII分子は、窒素原子上を置換したTII分子と比べて、有機電界効果トランジスタにおいて優れたアンバイポーラ特性を示した。
|