分子ワイヤの電気伝導特性として代表的なパラメータである減衰定数βは、以前の研究でビラジカルの交換相互作用の減衰定数βと相関があることを見出している。ESR測定を行い分裂パターンから評価する本法は、測定感度域は狭いものの相互作用の弱い領域の測定が可能であるため、飽和炭化水素のような減衰率の大きなユニットの評価に利用できる。籠状飽和炭化水素であるビシクロオクタンと、直鎖アルキルスペーサーでは、交換相互作用が10倍以上異なることを確認した。この差異は、籠状飽和炭化水素においては架橋部位で複数の軌道同士が相互作用していることに由来すると推測された。
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