研究課題/領域番号 |
26410092
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
横田 泰之 大阪大学, 基礎工学研究科, 助教 (00455370)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 原子間力顕微鏡 / 有機半導体 / イオン液体 / 電気二重層トランジスタ / 同時計測 |
研究実績の概要 |
近年、動作電圧の大幅な低下やキャリア密度の増加が容易に実現できることから、固体-液体界面を利用した電気二重層電界効果トランジスタ(電気二重層FET)が注目を集めている。中でも、ルブレン単結晶とイオン液体(IL)の界面を利用した電気二重層FETでは移動度が10 cm2/V sに迫る値が報告されている。ILは電位窓が広いといったユニークな特徴を有しているため近年急速に電気化学デバイスへの応用が展開されている。我々は、電気二重層FETでは有機半導体チャネル領域の直接観察が可能であることに注目し、主に原子間力顕微鏡(AFM)を用いてルブレン単結晶/IL界面の研究を開始している。今年度の研究内容としては、特に以下の2点を重点的に行った。 1. 電気二重層FETの動作下でのAFM観察を行うためのデバイス作製 2. ルブレン単結晶/IL界面のAFMを用いた詳細な構造解析と微細加工 1に関しては、多数のデバイスを作製して特性評価を行ったところ、当初の研究計画の作製方法では移動度の値が文献と比べて著しく低く、計画を変更してデバイスの最適化を行った。具体的には、絶縁材の塗布によるデバイス作製の方法から、レーザーエッチング法を用いた電極加工の方法へと切り替えた。これにより、1 cm2/V s程度の移動度を得られるようになり、改善が見られた。 2に関しては、デバイス特性を理解するうえで最も重要な情報となる精密な構造評価と、AFMの探針を用いた半導体表面の微細加工技術の確立を試みた。これらについては、我々がこれまでに行ってきた研究のノウハウを活かして、当初の予定通りの研究成果が得られた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度の最も重要な研究目標である、電気二重層FETの動作下でのAFM観察を行うためのデバイス作製(研究実績の概要で述べた1)については、作製方法については当初の計画の変更が必要であったものの、得られたデバイス特性は計画通りのものが得られており、研究はおおむね順調に進展していると考えている。また、計画を変更した実験を行ったことにより新たな研究シーズを発掘することができ、研究計画全体の目標達成の観点からも有意義であったと考えている。
|
今後の研究の推進方策 |
上で述べたように、これまでの実験によっておおむね当初の研究計画通りに研究が進展しているため、今後の研究計画に大幅な変更は不要であると考えている。研究計画になかった新たな研究シーズを見出しているが、これについては当初の研究計画と並行して実験を行うことが可能である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
本研究で最も重要となる原子間力顕微鏡装置が2ヵ月間故障により使用できなかったため、当初の予定よりカンチレバーの使用数が少なくなったため次年度使用額が生じた。
|
次年度使用額の使用計画 |
上記の故障期間中には、原子間力顕微鏡装置を使用せずに遂行できるデバイス作製等の実験を行ったため、研究の進捗状況は概ね当初の予定通りである。従って、原子間力顕微鏡用のカンチレバー購入費用分を除いて当初の使用計画に変更はない。
|