研究課題/領域番号 |
26410092
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
横田 泰之 国立研究開発法人理化学研究所, Kim表面界面科学研究室, 研究員 (00455370)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 界面構造 |
研究実績の概要 |
現在、有機電界効果トランジスタ(OFET)の研究開発が加速している。応用に向けた研究が進む一方で、OFETを低電圧駆動するという観点から、電解質を用いた電気二重層トランジスタ(EDL-FET)の研究も進んでいる。我々は、界面で起こる分子スケールの現象がデバイス性能を左右するという仮説の基、主に原子間力顕微鏡(AFM)を用いたイオン液体(IL)/ルブレン単結晶界面の研究を行っている。今年度は、昨年度に引き続きデバイス動作下でのAFM観察を遂行すると共に、界面構造をさらに詳しく理解するために古典分子動力学計算及び統計力学的な考察を行った。 一昨年度に作製した液中セルを用いてデバイス動作下でのAFM観察を継続し、界面構造とデバイス性能の相関の一般性を検証した。また、古典分子動力学計算から興味深い性質を示すことが予測されたシステムの構築を行い、その検証を開始した。 理論的考察では、古典分子動力学計算及び統計力学的な考察を完成させ、現在論文発表の準備を行っている。古典分子動力学計算では、新たにTime-Averaged Surface Distributionという解析手法を確立させ、固体基板上のIL分子の挙動を正確にとらえることに成功した。その結果、分子スケールの凸凹構造を有するフラーレン単結晶基板の場合、凸凹を有しないグラファイト基板と比べて特異な吸着構造を示すことが明らかになった。これは、凸凹の周期とイオンのサイズの重要性を示しており、分子スケールで界面を考察する重要性を改めて認識するに至った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度までに手がかりを得ていた、界面構造とデバイス性能の相関を検証することにより、我々の仮説が一般的に成立するものであることを見出した。
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今後の研究の推進方策 |
上記のように、これまでの実験及び計算によりイオン液体/有機半導体系の系統的な知見が得られており、今後は理論的考察を深めると共に、論文発表を行っていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究代表者が補助事業期間中に研究機関を移動したため、その前後にわたり研究が実質的に停止してしまったため期間の延長を申請した。次年度は主に実験データの考察と論文執筆を行う予定である。
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次年度使用額の使用計画 |
研究費の主な使用目的は、論文投稿に関連した軽微な実験・解析及び論文投稿費等である。
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