研究実績の概要 |
本申請研究の目的はミスマッチDNAをテンプレートに利用してこれまで未踏領域であった0.5~数10nmの距離で分子をプログラミング配 列する技術を確立することである。そのための具体的な項目として、研究計画① ミスマッチDNAの合成 研究計画② 錯体のプログ ラミング 研究計画③ ナノ粒子の担持 研究計画④ 基盤への固定化 研究計画⑤ 加熱処理、有機物の除去 研究計画⑥カーボンナノ チューブの生成に取り組んだ。最終年度は主にミスマッチDNAとの相互作用を形成する平面性希土類超分子錯体の合成に取り組んだ。具体的にはベンゼン環にジケトナート配位部位を2つ有する架橋型配位子に対して3当量の希土類イオン(Eu3+,Y3+,Yb3+)を反応させM2L3型の前駆体錯体を合成した。この前駆体錯体に三座の補助配位子としてキラルビスオキサゾリン配位子をM2L3型の前駆体錯体に対して2当量反応させることで、平面性の4核希土類錯体を合成することに成功した。この4核希土類錯体はX線結晶構造解析によりその絶対配置を決定すりことができた。X線結晶構造解析の結果より希土類イオン間の距離がそれぞれ1nmx1nmのサイズを有する4核希土類構造を形成していることがわかった。また三座の補助配位子として用いたキラルビスオキサゾリン配位子はキラリティーを有しており、得られた4核希土類構造は大変珍しい環状ヘリケート構造を有することがわかった。この結果はJ. Am. Chem. Soc. 2018, 140, 3683-3689 (DOI: 10.1021/jacs.7b12663.)に掲載され大きなインパクトを与えることに成功した。
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