研究課題/領域番号 |
26410118
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
磯崎 勝弘 京都大学, 化学研究所, 助教 (30455274)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 反応場 / 金クラスター / 触媒 / 動的挙動 / デンドリマー |
研究実績の概要 |
本研究では,金属ナノ粒子に表面修飾分子による反応場を精密設計・構築することで,表面修飾分子-反応基質間の分子認識を基軸とした高活性かつ高選択的な金属ナノ粒子触媒の開発を目的として研究を行っている。金属表面に結合する分子は触媒毒として働き,触媒活性を低下させることがこれまで一般的に知られていたが,申請者は,反応基質と誘起的に相互作用する有機分子界面を金属ナノ粒子上に構築できれば,酵素類似の反応メカニズムにより触媒反応速度を大きく向上できることを明らかにしている。本研究では申請者の発見した新触媒概念を一般化・発展させることを目的として,精密設計された有機分子界面を有する金属ナノ粒子触媒を開発し,種々の触媒反応への応用を進めている。 初年度の研究によりL-オルニチンを分岐単位とするペプチドデンドロンを用いて金クラスターの精密合成に成功している。そこで,今年度はペプチドデンドロン修飾金クラスターを用いた触媒反応の開発を行った。種々の触媒反応について検討を行った結果,ペプチドデンドロン修飾金クラスターが可視光照射下において酸化触媒活性を示すことを見出した。また,上記酸化反応が一重項酸素の生成を鍵として進行することを明らかにした。最終年度は見出した触媒活性を利用して種々の触媒反応の開発を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度初頭に研究室で火災が発生し,実験室の復旧に多大な時間を要したため,研究を十分に推進することができなかった。研究内容としては,当初予定していた触媒活性の発現に関しては達成されており,最終年度の研究に向けての準備はできている。一方で,同様に予定していた異種金属ナノ粒子触媒の開発にはまだ着手できていないので,最終年度にこちらも併せて着手する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
研究進捗状況としては,単純な研究時間の充当が不足したことによる遅れであるため,研究内容に大幅な変更は無い。最終年度である今年度は,予定していた研究課題のうち,まだ着手できていない異種金属ナノ粒子触媒の開発に早めに着手することで,金クラスターを用いた触媒反応開発と併せて,研究の方向性を早い段階で決める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度初頭に実験室全てが使用付加になる火災が発生し,予定していた研究内容全てを実施することができなかった。そこで,実施予定だった研究内容に使用する研究経費を次年度に繰り越した。
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次年度使用額の使用計画 |
最終年度となる今年度は,前年度に実施できなかった研究内容についても人員を多く配分し研究推進を加速することで,当初予定していた研究内容についても行う予定である。
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