研究課題
本研究では,金属ナノ粒子上に表面修飾分子による反応場を精密設計・構築することで,表面修飾分子―反応基質間の分子認識を基軸とした高活性かつ高選択的な金属ナノ粒子触媒の開発を目的として研究を行っている。金属表面に結合する分子は触媒毒として働き,触媒活性を低下させることがこれまで一般的に知られていたが,申請者は,反応基質と誘起的に相互作用する有機分子界面を金属ナノ粒子上に構築できれば,酵素類似の反応メカニズムにより触媒反応を大きく向上できることを明らかにしている。本研究では,申請者の発見した新触媒概念を一般化・発展させることを目的として,精密設計された有機分子界面を有する金属ナノ粒子触媒を開発し,種々の触媒反応への応用を進めている。昨年度までの研究により,L-オルニチンを分岐単位とするペプチドデンドロンチオラートで表面修飾された単一分子組成を有する金クラスターの合成と,可視光照射による一重項酸素生成反応に対する光触媒活性を示すことを見出している。そこで,最終年度となる今年度は光触媒的に生成された一重項酸素を酸化剤として利用することで,ペプチドデンドロン反応場における光触媒的酸化反応の開発を行った。その結果,フラン類に対する酸化的開環反応が効率よく進行することをみいだした。また,同反応において,反応温度,溶媒の検討から,ペプチドデンドロンが反応場として作用し,反応を促進していることを明らかにした。
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Chemistry Letters
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10.1246/cl.170012
Chemistry an Asian Journal
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