研究課題/領域番号 |
26410120
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
工藤 孝幸 岡山大学, 自然科学研究科, 助教 (00346412)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | Diels-Alder反応 / アニオン / 多環芳香環 / ジイン / カルバゾール / インドール |
研究実績の概要 |
平成27年度は、平成26年度に見出したインドール結合1,6-ジインの分子内dehydro Diels-Alder反応による新規カルバゾール合成法を中心に検討を行った。この反応システムでは、1,6-ジインのうち、インドール結合アルキンがジエンとして作用し、もう一方のアルキンがジエノフィルとして分子内Diels-Alder反応が進行し、置換カルバゾールが得られる。この反応系では、比較的温和な加熱条件下、良好な収率で反応が進行し、置換基の位置を制御してカルバゾールの合成が可能である。 平成27年度は、この新規カルバゾール合成法の基質適用限界とリンカー部分の官能基変換に取り組んだ。アルキン末端部分に水素、アルキル基、エステル、置換ベンゼン、フランを有する基質を合成し、反応を検討したところ、共役系置換基では反応性が高く、特に電子求引基であるエステルでは非常に反応性が高い傾向があることが分かった。一方で末端置換基が水素、アルキル基では反応性が低く、150度まで加熱すると末端水素のものでは中程度の収率で置換カルバゾールが得られた。しかし、アルキル置換基を持つものは期待したカルバゾールは得られず、基質の分解が起こった。ジエンとして作用するインドール上の置換基についても検討を行った。その結果、インドール窒素の保護基が反応性に大きな影響を及ぼし、電子求引基を導入すると著しく反応性が低下することが分かった。 リンカー部分であるテトラヒドロフラン環部分の官能基変換では、文献既知の方法であるクロム酸を触媒として用いた酸化反応により、位置選択的にラクトンへと変換出来ることを確認した。今後、さらなる条件検討を行い、収率等の改善を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでに本反応の基質適用限界、置換基の反応性に及ぼす影響など基礎的な検討は、おおむね完了した。今後さらに一般的なカルバゾール合成法として確立し、論文としてまとめていくために必要な反応例の追加とリンカー部分の官能基変換について検討を行う。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の最終年度である平成28年度は、本反応をカルバゾール合成法として論文にまとめる。また、この合成法を用いた生物活性天然物合成や有機電子材料の開発への応用も視野に入れ、研究のさらなる発展を検討する。さらには、本反応系をより一般化することを検討し、電子豊富ジエンによるDiels-Alder反応の活性化法として展開するための分子設計も検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
使用を予定していた溶媒、試薬の見積もり量より少ない購入量で研究を遂行することが出来たため、わずかに残額が発生した。
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次年度使用額の使用計画 |
今年度は、研究最終年度であり、研究をまとめるため、予算を全額使用する予定である。
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