研究課題/領域番号 |
26410122
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
嶌越 恒 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00284539)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 環境汚染物質 / 可視光 / 酸化チタン / 界面錯体 / ビタミンB12 / エンジオール基 / 電子移動 |
研究実績の概要 |
高効率な可視光応答型の酸化チタン-ビタミンB12錯体複合触媒の開発を目指し、当該年度は可視光応答部位と触媒部位を別々の酸化チタン粒子に結合したのち複合化した二粒子混合型複合触媒の開発を行った。酸化チタンは結晶系の異なるアナターゼ型とルチル型酸化チタンを用い、カテコールと共有結合型ビタミンB12をそれぞれ修飾した酸化チタンを計4種類作製し、それぞれを組み合わせて光触媒活性評価を行った。酸化チタンの結晶系の違いに起因して、それぞれの伝導帯電位が異なるため、界面電荷移動吸収に基づく可視光応答性および粒子間電子移動効率が変化し、ルチル型酸化チタンのカテコール基を、アナターゼ型酸化チタンのビタミンB12錯体を固定化した組み合わせのものがもっとも高い光触媒活性を示し、トリクロロメチルベンゼンの脱塩素化反応では約1000回の触媒回転数を示した。また本触媒システムの機構を明らかにするために、拡散反射UV-VISスペクトル、ESRスペクトル、DLS、TEM測定を行い、二粒子間での可視光誘起電子移動が起きている事を明らかにした。一方で、TEM測定では、ヘテロな複合二粒子の形成効率が低く、本来の触媒活性を十分に発揮しきれていないことも明らかになった。すなわち可視光応答部位を有する酸化チタンと触媒部位を有する酸化チタンを、如何にに安定かつ効率良く複合化させるか、二粒子間の界面相互作用の制御の重要性が示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
エンジオール基を有する色素を酸化チタンと複合化することで、界面電荷移動に基づく可視光応答型の酸化チタン複合化触媒を開発することが本研究の目的であり、本年度はその基礎となる二粒子混合型触媒システムの開発に成功し、当初の目的を順調に達成していると言える。
|
今後の研究の推進方策 |
本年度開発した二粒子混合型光触媒システムの活性を向上させるために、可視光応答領域の広域化を目指し、より広範な界面電荷移動型酸化チタンの作製を行う。さらに、その耐久性の向上を目指し、多点相互作用が可能となるポリマー型界面電荷移動型酸化チタンを作製する。また、二粒子複合構造の精密制御を目指し、静電相互作用を利用した二粒子混合型酸化チタン複合触媒の開発を行う。
|