研究課題/領域番号 |
26410122
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
嶌越 恒 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00284539)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 環境汚染物質 / 可視光 / 酸化チタン / 界面錯体 / ビタミンB12 / 酸素 / エステル / アミド |
研究実績の概要 |
酸化チタンの結晶性が及ぼす、ビタミンB12-酸化チタン複合触媒の反応活性を明らかにするため、ルチル型酸化チタンおよびアナターゼ型酸化チタンに着目し、それぞれの酸化チタンを用いてビタミンB12-酸化チタン複合触媒を作成し、臭化フェネチルの脱ハロゲン化活性を評価した。その結果、ビタミンB12と酸化チタンの結合の強さを反映して、生成物の選択性が変化することを見出した。 また、環境汚染物質であるベンゾトリクロリドを基質として、ビタミンB12-酸化チタン複合触媒による脱塩素化反応を空気下で行ったところ、紫外線照射下で、安息香酸エチルが定量的に生成することを見出した。使用するアルコール溶媒に応じて、対応するエステル化合物が得られた。またアミン存在下では、エステルの替わりに対応するアミド化合物が高い収率で得られた。本反応は、環境汚染物質を原料とし、有用なエステルおよびアミド化合物がワンポットで生成する、有用な反応である。また反応機構を明らかにするため、反応中間体をGC-MSにより分析したところ、酸塩化物を検出することに成功した。また同位体ラベルした18酸素を用いて酸素原子に取り込みを調べ、空気中の酸素ガスが生成生物中に取り込まれていることも確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究目的である環境負荷物質を資源とする光駆動型物質変換システムの開発という観点では、本年度は特定化学物質に指定されている有害なベンゾトリクロリドを原料とし、開発したビタミンB12-酸化チタンを触媒として、エステルまたはアミド化合物へと変換するシステムの開発に成功した点で、当初の目的を達成し、研究は概ね順調に進展していると判断出来る。
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今後の研究の推進方策 |
研究の最終目標である可視光駆動型物質変換システムの開発に向けて、研究期間中に開発した可視光に応答する界面型酸化チタンを用い、平成27年度に見出したベンゾトリクロリドからのエステル合成への応用に挑戦する。さらに、炭素-炭素多重結合還元触媒への応用を目指し、開発したビタミンB12-酸化チタンを触媒による光駆動型アルケン還元反応を行う。
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