研究課題/領域番号 |
26410130
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
荒木 潤 信州大学, 学術研究院繊維学系, 准教授 (10467201)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ポリロタキサン / シクロデキストリン / 一環一置換ポリロタキサン誘導体 / モノ置換シクロデキストリン |
研究実績の概要 |
一環一置換ポリロタキサン誘導体を調製するための出発原料としてCDモノ置換体の大量スケールでの調製が必須である。そのような誘導体の調製はすでに文献で報告されているが、参考にしている文献(Tang, W.; Ng, S.-C. Nat. Protocol 2008, 3, 691-697)に不備の点が多く、論文記載の通りに反応を行っても5%程度の極めて低い収量しか得られなかった。そこで、学内の他の有機合成化学研究者と協力し、溶媒系(ピリジンからピコリンへ変更)および修飾試薬(塩化トシル)の添加量調製、ならびに回収法(逆走カラムを用いたクロマトグラフィーの溶離液の最適化)について改良を重ねた結果、30%程度の満足できる収量を繰り返しよく再現できる結果を得た。 これらのモノ置換CDを軸分子である高分子(PEG、PPG)に包接し包接錯体を得たが、末端のエンドキャッピングの際に離脱するCD誘導体が多いため、末端封鎖基結合の化学反応種をアミド結合以外の様々な反応に変更する、あるいは溶媒を用いない固相反応を用いた末端封鎖基の結合によるポリロタキサン調製を検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
一環一置換ポリロタキサン誘導体を調製するための出発原料としてCDモノ置換体の大量スケールでの調製が必須であるが、参考にしている文献(Tang, W.; Ng, S.-C. Nat. Protocol 2008, 3, 691-697)に不明な点が多く、論文記載の通りに反応を行っても5%程度の極めて低い収量しか得られなかった。そこで、学内の他の有機合成化学研究者と協力し、溶媒系(ピリジンからピコリンへ変更)および修飾試薬(塩化トシル)の添加量調製、ならびに回収法(逆相カラムを用いたクロマトグラフィーの溶離液の最適化)について改良を重ねた結果、30%程度の満足できる収量を繰り返しよく再現できる結果を得た。 以上の点は当初の研究計画では2年目の半ばに終えている予定であったが、誘導体調製の文献をいくつか検索し試してもすべて期待された通りの収量が得られず、回収法の改良を自分たちで編み出さなければならなかったため、その部分に大幅に時間を割いた。
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今後の研究の推進方策 |
モノ置換CDから包接錯体調製までのステップはすでに再現よく調製できており、末端封鎖基の結合についても末端封鎖反応の際の溶媒系・化学結合の種類を様々に検討したり、反応系を固相反応に変更したりすれば実現可能であると考えられる。さらにそこに側鎖である高分子鎖を結合する反応を行えば、目的とする一環一置換ポリロタキサン誘導体が調製できる。側鎖の分子量を様々に変えた誘導体をいくつか調製し、熱挙動の違いが側鎖分子鎖長に伴って変化するかどうかを主に熱測定の面から検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
一環一置換ポリロタキサン誘導体の原料として使用するモノ置換CD誘導体の調製および精製の条件検討に予定より時間がかかり、また調製スケールも小スケールでの検討に留まっており、予定していた金額よりも低い額の使用に留まったため。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度に、一環一置換ポリロタキサン誘導体の原料として使用するモノ置換CD誘導体の調製法および精製法が確定したため、大量スケールで継続的に調製する必要が生じてくる。H28年度請求額と合わせてこれらの調製および精製のための機器及び試薬の購入に充当する予定である。
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