研究実績の概要 |
末端に一級アミノ基を導入した修飾PEGとモノ置換CDを用いて調製した包接錯体から、末端封鎖反応によりポリロタキサンを調製することに成功した。末端封鎖分子に2,4,6-トリニトロベンゼンスルホン酸ナトリウムを用い、末端封鎖反応時の溶媒として水/γ-ピコリン混合溶媒のピコリン含量を徐々に高めながら反応を行うという新規な手法を探索して見出し、高収率でモノ置換CD含有ポリロタキサンを調製することに成功した。さらに、分子量2000のmPEGの片末端に導入したプロパルギル基とCD上のアジド基の間でのクリック反応によりmPEGをグラフトした一環一置換型ポリロタキサンを調製し、分取型サイズ排除クロマトグラフィーで精製する手法を確立した。側鎖として用いるmPEGの分子量を3種類用意して側鎖長の異なる一環一置換型ポリロタキサンを調製し、すべての生成物に残存アジド基がないことをFT-IRにより示した。これはすべての条件において全ての環にmPEGが結合し、目的とする一環一置換型ポリロタキサンが得られたことを意味する。さらに、側鎖分子量2000の生成物のDSC測定を行ったところ、吸熱のピークが出現した。吸熱量が予想よりも小さく、吸熱温度もmPEG2000の位置よりも僅かに低いなどの点は見られたが、これは主鎖として用いたポリロタキサンの包接率が高く、mPEGを結合したCDの移動距離が短いためと考えて説明できた。以上の結果より、側鎖長の異なる一環一置換ポリロタキサンを調製し精製・回収する手法を確立した。またその一環一置換ポリロタキサンが、溶融することなく側鎖分子の融点に対応する「束縛融解挙動」を確かに示すことを明らかにした。
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