研究課題/領域番号 |
26410133
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研究機関 | 豊橋技術科学大学 |
研究代表者 |
原口 直樹 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30378260)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | キラル高分子 / 有機分子触媒 / 有機分子触媒組込型キラル高分子 / シンコナアルカロイド / 不斉反応 / 高分子触媒 / クリック反応 |
研究実績の概要 |
本研究は、アミン型またはアンモニウム塩型キラル有機分子触媒二量体と二官能性リンカーの分子間反応による重合により、高分子主鎖中にアミン型またはアンモニウム塩型キラル有機分子触媒部位を定量的かつ規則的に導入した新規キラル高分子である『有機分子触媒組込型キラル高分子(CPC)』を開発することを目的とした。 本年度はアミン型またはアンモニウム塩型キラル有機分子触媒二量体と二官能性リンカーの分子間エーテル化反応、エステル化反応、thiol-ene反応反応、溝呂木ーHeck反応による重合を用いた、CPCの合成を行った。アミン型キラル有機分子触媒にはO-エーテル化シンコナアルカロイド、スルホンアミド化シンコナアルカロイドやキラルイミダゾリジノンを、またアンモニウム塩型キラル有機分子触媒にはシンコナアルカロイド四級塩を用い、各種重合条件を検討した。thiol-ene反応による重合は速度がやや小さく、重合反応には適さなかったが、その他の重合は円滑に進行した。得られた高分子の構造はNMR、IR、SECや元素分析で確認でき、目的とするCPCの合成に成功したことが明らかとなった。本合成法の確立により、種々のアミン型またはアンモニウム塩型キラル有機分子触媒を高分子主鎖に組み込んだキラル高分子が合成できるようになった。 上記の分子間反応に加え、一分子内に二重結合とハライドを有するアミン型またはアンモニウム塩型キラル有機分子触媒の溝呂木ーHeck反応による自己重縮合型CPCの合成も可能であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度計画では、有機分子触媒組込型キラル高分子(CPC)の分子設計および自己重付加型CPCの合成を計画しており、thiol-ene反応以外の重合法による各種CPCの合成および自己重付加型CPCの合成には成功している。また、平成27年度に実施予定のCPCを用いた不斉反応にも既に着手していることから、研究はおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
平成27、28年度計画では引き続き有機分子触媒組込型キラル高分子(CPC)の合成を行うとともに、ハイパーブランチ型CPCの合成やCPCを用いた不斉反応に着手する。 CPCの合成では、これまで有機分子触媒の高分子固定化や高分子主鎖組み込み化にあまり用いられていないエステル化反応や溝呂木ーHeck反応、鈴木ー宮浦カップリング反応などに焦点を当てて、重合条件の検討を行う。また、二量体リンカーに代えて三量体リンカーを用い、ハイパーブランチ型CPCの合成を行う。 CPCを用いた不斉反応では高分子主鎖に組み込んだキラル有機分子触媒に対応した不斉反応を行い、CPCの触媒性能の評価を行う。不斉反応における転化率、生成物の収率、立体選択性、触媒の再使用性に関して、モデル低分子触媒ならびに従来の高分子固定化型有機分子触媒との比較・検討し、CPCの特徴を明らかにする。得られた知見を基に、CPCの分子構造を最適化し、高性能高分子キラル触媒の開発を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度で計画していた高分子合成に代えて次年度で計画していた不斉反応を前倒しで遂行したため、物品費(主に試薬代)において次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度には前年度に計画していた高分子合成を行うため、生じた使用額相当の物品費(主に試薬代)を使用予定である。その他の直接経費、間接経費の使用予定は従来と変更はない。
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