研究課題/領域番号 |
26410134
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
寺島 崇矢 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (70452274)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 星型ポリマー / ミクロゲル / 両親媒性コポリマー / 一分子折り畳み / リビングラジカル重合 / 疎水性相互作用 |
研究実績の概要 |
本研究では、分子量・サイズ・組成比・構造を狙い通りに制御した超精密ミクロゲル星型ポリマーの新規合成法の開発を目的とし、平成26年度は以下を検討した。 1. 超精密ミクロゲル星型ポリマー合成法の開発 まず、ルテニウム触媒を用いたリビングラジカル重合により、親水性ポリエチレングリコール(PEG)鎖と疎水性アルキル、及び水酸基を側鎖にもつ両親媒性ランダムコポリマーを合成し、次いでこの側鎖水酸基をメタクリル酸クロリドでエステル化し、オレフィン側鎖をもち一次構造が精密制御された両親媒性ランダムコポリマーを合成した。このポリマーを水中での一分子鎖により折り畳み(球状化)、アゾ系ラジカル開始剤を加えると、選択的に分子内架橋(ミクロゲル化)が進行し、目的とする「超精密ミクロゲル星型ポリマー」が得られた。ここでは、その前駆体となる両親媒性ランダムコポリマーの分子量、モノマー組成・連鎖、末端基がそのまま星型ポリマーに反映されるため、これらの一次構造を自在に精密制御可能な合成法の開発に成功した。 2. 両親媒性星型ランダムコポリマーによる超精密ミクロゲル星型ポリマー 枝数が正確に制御された星型ポリマーを一分子で折り畳み、分子内で架橋すれば、その枝数に対応した高分子鎖が会合した超精密ミクロゲル星型ポリマーを合成できる。そこで、多官能性開始剤によるリビングラジカル重合と側鎖のエステル化により、PEG鎖と疎水性アルキルとオレフィンをもつ両親媒性ランダム星型ポリマーを合成した。上記同様に、本星型ポリマーを分子内折り畳み、架橋すると、超精密ミクロゲル星型ポリマーを合成できた。 3. 機能性超精密ミクロゲル星型ポリマーの合成 超精密星型ポリマーのミクロゲルに精密空孔を構築し、高選択的な分子認識を実現することを目的として、カチオン性官能基により機能化した超精密ミクロゲル星型ポリマーの合成も検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初平成26年度は「1.超精密ミクロゲル星型ポリマー合成法の開発」のみを計画していたが、当初の計画以上に速やかに本手法を確立することができたため、当初平成27年度に計画していた「2.両親媒性星型ランダムコポリマーによる超精密ミクロゲル星型ポリマー」も同時並行して研究を進めることができた。また、平成26年度の研究過程で、「3.超精密ミクロゲル星型ポリマーの機能化」も自在にできることを見出し、今後新たな機能性高分子材料の基盤として「超精密ミクロゲル星型ポリマー」を利用・展開できる可能性も見出した。 このように、当初の計画以上に研究が進展しており、上記の達成度と結論づけた。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度は、平成26年度に見出した超精密ミクロゲル星型ポリマーの合成法や機能化をさらに発展させ、以下を検討する予定である。 1.超精密ミクロゲル星型ポリマー: 平成26年度に確立した合成法をもちいて各種超精密ミクロゲル星型ポリマーを合成する。さらに、NMRや小角X線散乱(SAXS)、粘度測定により、これらミクロゲル星型ポリマーの三次元構造・形態・架橋密度・運動性などを多角的に評価・解析し、従来型のミクロゲル星型ポリマーとの違いを明らかにする。 2.機能性超精密ミクロゲル星型ポリマー: カチオン性官能基により機能化した超精密ミクロゲル星型ポリマーを用い、アニオン性色素の分子認識を検討する。特に、ここでは星型ポリマーを合成する際、認識する色素の存在下で架橋し、その分子構造を鋳型として記憶させる分子インプリント法を適用する。これにより、色素構造由来の精密空孔をミクロゲルにもつ超精密星型ポリマーの創出を目指す。
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