研究課題
本研究は、サイズや三次元構造を狙い通りに制御した超精密ミクロゲル星型ポリマーの合成を目的とし、平成28年度は以下を検討した。1.精密ナノ空間の構築:平成26と27年度に開発した「疎水性オレフィン側鎖を持つ両親媒性ランダムコポリマーのユニマーミセルを分子内架橋する手法」により、精密ナノ空間を持つ様々な超精密ミクロゲル星型ポリマーを合成した。例えば、親水性PEG鎖(A)と異なる疎水性基(B:ドデシル基、C:ベンジル基、オレフィン)で修飾したA/B-A/Cランダムブロックコポリマーを設計した。このポリマーは、水中で疎水性基同士(BとC)が相分離しながらユニマーミセル化し、これを分子内架橋すると、二つ異なるナノ空間(BとC)を持つ一分子鎖星型ポリマーを創出できた。この構造は、光散乱やNMR、小角X線散乱、電子顕微鏡により評価した。また、球状ポリマーと直鎖ポリマーが連結した両親媒性おたまじゃくしポリマーは、水中でマルチコンパートメントミセルを与えた。2.動的共有結合による新規合成法:動的共有結合のイミン結合を架橋に利用し、星型ポリマーの新規合成法を開発した。本星型ポリマーは、pHに応答して、直鎖、折り畳み、架橋の3種の構造を可逆的に変化できた。3.星型ポリマー鉄触媒によるリビングラジカル重合:イミン結合を分子内架橋と配位子構築に用いて星型ポリマー鉄触媒を創出した。本ポリマー触媒は、各種モノマーのリビングラジカル重合に有効で、高い活性と官能基耐性を示し、触媒リサイクルも可能であった。4.両親媒性ランダムコポリマーの自己組織化:親水性PEG鎖と疎水性ドデシル基を持つ両親媒性ランダムコポリマーが、水中で鎖長によらず共重合組成比のみに依存して、一定のサイズの球状ナノ会合体を形成することを見出した。本系では、会合数を予測して制御することができ、革新的な自己組織化システムの構築に成功した。
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