本研究は、スピンコート法による薄膜成膜プロセスにおける高分子の結晶化挙動と界面形成キネティクスを検討可能な実験法を大型放射光施設SPring-8の高輝度X線を利用して構築することを目的として実施した。試料としては有機高分子系太陽電池材料と成分解性・生体適合性を有するポリエステルを用いた。その結果、次の事が明らかになった:①基板回転速度が高くなると高分子の核生成速度が高くなった。②高分子の結晶化速度は、基板回転速度と溶液の初期濃度に依存して変化した。③高分子の分子量が高くなると、結晶化速度は低下した。④結晶化が始まる以前に、基板表面に垂直な方向で一定波長の濃度ゆらぎが発生することが示唆された。
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