研究課題/領域番号 |
26410146
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
高橋 透 福井大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30361166)
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研究分担者 |
壹岐 伸彦 東北大学, 環境科学研究科, 教授 (50282108)
星野 仁 東北大学, 環境科学研究科, 教授 (20124620) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 生成反応速度解析 / フタレイン系色素 / 非金属錯体 / キャピラリー電気泳動反応器 |
研究実績の概要 |
今年度は,フタレイン系色素の一つであるテトラブロモフェノールフタレインエチルエステル (TBPE) をモデル化合物として,本研究において提案する”錯体”の生成反応速度解析のためのzone-passing mode (ZP-CER)を,そのコンセプトはそのままに,一般的な化合物の反応のキネティクス解析へ拡張することを試みた.酸性泳動緩衝溶液で満たしたキャピラリーに TBPE 溶液のプラグを注入し,電圧を印可して電気泳動を行った.TBPE のプラグを注入した後,さらに泳動緩衝溶液を注入した.このときの泳動緩衝溶液の注入時間を変えることによって,TBPE 溶液プラグのスタート位置を種々に変化させ,泳動時間を制御した複数の電気泳動図を得た.またこのとき,中性泳動緩衝溶液をTBPE のプラグの前後に注入した.それぞれの電気泳動図を解析し,泳動時間の増加に伴うTBPEピークの相対ピーク面積の変化から,キャピラリー内で進行したTBPEの酸加水分解反応の残存率の時間プロファイルを得た.これを,擬一次反応として解析し,その酸加水分解反応速度定数を算出することに成功した. 一方,ZP-CER を非金属錯体である1-(2,4-ジヒドロキシ-1-フェニルアゾ)-8-ヒドロキシナフタレン-3,6- ジスルホン酸(H-レソルシノール)- ホウ酸錯体生成反応系へ応用することを試み,その生成反応速度定数を算出することに成功した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上述のように,本年度の研究計画項目,「zone-passing mode CER の種々の反応系への拡張」を達成することができている.また,上述のzone-passing mode CER のH-レソルシノール-ホウ酸錯体への応用は,本年度の研究計画項目「“錯体”の活性化パラメータ測定のための拡張型CER としての温度可変型CER の創出」のための導入ステップとして取り組んでいる.
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今後の研究の推進方策 |
次年度も,当初の研究計画通りに研究を推進する.現在の研究項目を引き続き遂行すると共に,特に「“錯体”の活性化パラメータ測定のための拡張型CER としての温度度可変型CER の創出」に注力して研究計画を遂行する.
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は当初計画よりも経費使用額が増加したが,その増加分が前年度繰り越し額よりも少なかったため.
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次年度使用額の使用計画 |
次年度以降も当初の研究計画通り,消耗品の購入,および学会参加のための旅費を研究費の主たる使途とする.また,今年度よりZP-CERの種々の反応系への拡張を行っており,天然シデロフォアなど,比較的高額な試薬類の購入が必要となり,本年度と同様当初計画よりも支出が増加する見込みである.
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