研究課題
ヌクレオチドの分離は、HILICモードにおいては未だに挑戦的な課題である。双性イオン型のカラム6種を用いて1リン酸型のヌクレオチドの分離最適化を行なったところ、核酸部のカチオン性によって好適な分離条件(移動相中の緩衝液塩濃度、分離の温度)が異なることが示された。また、双性イオン型のカラムでも、化学修飾の違いによって堅牢な分離条件の範囲が狭いものと広いものの差があることも明らかになった。さらにカラム内外に露出しているステンレス部分がヌクレオチド分離に悪影響を与えることがわかったので、内面PEEK被覆型カラムを用いて対処できるようになった。HILICの分離条件下で糖類のキラル分離を実現したが、その分離係数は1.02とまだまだ不十分な値である。より保持を大きくするため、キラル源としてのアミノ酸に加えて、糖鎖と相互作用するボロン酸を合わせて有するモノマーの開発を実施した。複数の合成ルートを試したところ、そのうちの多くはモノマーの分離段階での重合などにより効率的ではなかったが、アミノ酸に保護基を修飾しボロン酸部と結合する段階を先に行う手法が有効であることを見出した。まだ大量合成には至っていないが、目的物の合成には成功した。今後この分子を大量合成し、新たな固定層を開発してゆく。テトラゾールを含むシリル化剤を開発し、シリカ粒子を化学修飾した。反応条件を種々検討したところ、表面反応率を高めた条件下では非常に高い親水性(市販のHILICカラムの1.5~2倍)の充填剤が得られた。
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Journal of Chromatography A
巻: 1450 ページ: 45, 52
10.1016/j.chroma.2016.04.076