研究実績の概要 |
miRNAは分化制御に関わっていることから、miRNAの迅速な定量的検出が急務となっている。そこで、申請者は癌の発がん機構の解明や、スクリーニングのため、唾液中や血中に含まれるmiRNAを増幅することなく、直接検出することを目指した。DNA-RNA2本鎖に結合する指示薬はほとんど報告されていないが、申請者の開発したナフタレンジイミド誘導体はDNA・RNA2本鎖にも結合することが知られており、これとDNAプローブ電極を組み合わせて、迅速かつ簡便なmiRNA検出の確立を目指した本提案では、FNDの合成と電気化学的miRNA検出の条件検討、および口腔癌、肺癌、前立腺癌、膀胱癌について、miRNAの検出を行い、非増幅検出法の適用性を検証する。九州歯科大学、産業医科大学より供与された臨床サンプルについて、口腔癌(唾液)、前立線癌(血液)、腎臓癌(尿)、肺癌(肺洗浄液)のmiRNAの電気化学的検出を行う。 最終年度は以下の検討を行った。 (1) 目的物の選択的検出を達成するために、miRNAファミリーの検出を試みた。前立腺がんのマーカであるmiR141に対して、同じファミリーの200a, 200bをターゲットとした。これらはmiR141と配列が2塩基、4塩基異なる配列を有しているため、それぞれ2塩基、4塩基ミスマッチとなる。測定条件の検討により、miR141を選択的に検出可能な条件を算出した。 (2) 肺がんのマーカーであるmiR205について、最も配列の近いmiR3130を比較対象として、検討したところ、miR205のみを選択的に検出することに成功した。 (3) 肺がんについて、血液サンプルの前処理方法を検討し、これからのmiRNA検出を試みた。
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