イオン液体中における銅(II)イオンのクロロ錯生成定数および錯生成反応熱は、DMFやアセトニトリルなど分子性液溶媒の範疇にあった.錯生成反応がエントロピー駆動であることなど含め、金属の反応熱力学量だけを見ると、液体としての特異性からは予想外に、イオン液体は従来の有機溶媒と同様の振る舞いをすると結論付けられそうである.一方、錯生成定数の陰イオン依存性が小さいことや、溶媒和錯体における塩化物イオンとの無熱的な配位子交換は、イオン液体中において特徴的であった.このことは、イオン液体において溶媒化学種が電荷を持つことによって第一溶媒和圏における溶媒化学種間相互作用が大きいことに起因する.
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