研究課題/領域番号 |
26410158
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
志村 清仁 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (30130008)
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研究分担者 |
長井 俊彦 福島県立医科大学, 医学部, 助教 (90180447)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | キャピラリー等電点電気泳動 / 抗体カラム / 結合分析 / タンパク質 / マイクロ分析 / 免疫等電点電気泳動 |
研究実績の概要 |
①抗体固定化中空キャピラリーカラムの調製 フューズドシリカキャピラリー内壁に抗体を固定化するための方法を確立した。アミノシランによって表面にアミノ基を導入し、そのアミノ基をジスクシニミジルカルボニルで活性化した。ついでストレプトアビジンを反応させて内壁に固定化した。このキャピラリーにビオチン化抗 E-tag ポリクローン抗体を流して結合させ、抗 E-tag 抗体固定化キャピラリーを作成した。 ②カラム結合法の最適化 一本のキャピラリーの内壁に抗体結合部分と中性ポリマー結合部分の2種の内壁構造を作り分ける区分塗り分け法と、それぞれ別のキャピラリーに作成した後に接合する連結法を実施し、その利点と欠点を明らかにした。調製が容易なのは連結法であるが、連結部の断面の直径が大きくなるため、市販の全自動キャピラリー電気泳動装置に装着することができなかった。したがって、当面は塗り分け法を用いることにした。抗体結合キャピラリーと等電点電気泳動キャピラリーを直結した構造をもつこれらのキャピラリーをハイブリッドキャピラリーと呼ぶこととした。 ③ハイブリッドキャピラリーによる分離分析 E-tag をもつ蛍光標識組換え Fab を試料として、抗体による捕捉と、それに続く等電点分離の結合分析を行った。抗体に結合した Fab の溶離には、陽極液である 100 mM リン酸で抗体結合部を満たすことによって行った。陽極液は両性担体に比べて電気伝導度が高いので、抗体カラムでの陽極方向への電気浸透は効果的に抑制され、等電点電気泳動による高解像度の分離分析が達成された。 ④生体試料への応用 生体試料を模して 50% 血清を含む Fab 試料をハイブリッドキャピラリーに添加し、分析を行った。血清の影響をまったく受けることなく、分離分析を行うことができた。これによって、このハイブリッドキャピラリーの有効性が確かめられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定した4項目のうち、3項目をほぼ達成した。
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今後の研究の推進方策 |
1.抗体カラムとしてモノリスカラムの利用 内壁に抗体を結合させたキャピラリーは試料を結合させる際の流速を低く抑える必要があるため、迅速な分析には不利である。モノリスカラムは、この点を大きく改善できる可能性がある。 2.尿中エリスロポイエチンの分析 実際にドーピング検査としても重要なエリスロポイエチンについて本法を適用し、その有効性を確認したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
30th International Symposium on MicroScale Bioseparations (Pecs, Hungary) への出張旅費が大学運営資金より支出されたため、旅費が減少したため。
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次年度使用額の使用計画 |
抗体製品などの消耗品として使用を予定している。
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