研究課題/領域番号 |
26410167
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研究機関 | 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
池羽田 晶文 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 食品総合研究所食品分析研究領域, 主任研究員 (40342745)
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研究分担者 |
森澤 勇介 近畿大学, 理工学部, 講師 (60510021)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 遠紫外分光法 / 減衰全反射法 / CTTSバンド / ハロゲン化物イオン / 共晶 |
研究実績の概要 |
イオンの化学形態を知ることは生体機能の解明,食品品質の保持など多くの分野において重要だが,直接的な観測方法が無いのが実情であった.本研究課題では,研究代表者らが開発した遠紫外減衰全反射法によって初めて観測可能となる水の第一電子遷移吸収バンド(A-X)や,ハロゲン化物イオンのCTTS(Charge Transfer to Solvent)を利用し,イオンの化学形態を直接観測する新しいスペクトル分析法を提案する.平成26年度は主に塩の凍結濃縮過程解析のための冷却装置の製作および調整を行った.当初の予定より装置の構造を簡素化することで調整の期間が短縮されたため計画を前後し,平成27年度に予定していたハロゲン化物塩水溶液の凍結過程でのスペクトル挙動の観察を行った.冷却時の相挙動がよく知られているNaCl水溶液については175 nm付近にCTTSバンドが観測され,凍結に伴うシグナル増大,即ちイオンの濃縮が明瞭に観察された.それらの変化により均一溶液,溶液+氷混合相,共晶+氷混合相,共晶+二水和物の4つの相が区別できた.また,共晶が融解する温度(-21.1℃)では塩濃度に寄らず水のA-XおよびCTTSバンドピーク位置がほぼ一致することを発見した.このことは液相の濃度が共晶と等しい共通組成となることを示唆する.他のハロゲン化物塩水溶液でも同様の結果が得られたことから,イオンの動態観測に対する遠紫外減衰全反射法の十分な有効性が示された.一方,ハロゲン化物イオンのCTTSバンドについて量子化学計算を開始し,その基礎的性質について検討した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
設計した冷却装置が予想以上の性能と簡便性を示したため一部の実験計画を前後させたが,実行内容は概ね順調である.
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今後の研究の推進方策 |
前後した実験計画を実施するとともに,量子化学計算との連携を強化する.
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額 136,702円は一部の実験計画に前後が生じたために発生した残額であり,研究自体はむしろ予定より順調に進んでいる.
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次年度使用額の使用計画 |
本研究課題遂行のため,次年度の研究費は交付申請時の計画どおり使用する。なお、次年度使用額 136,702円は,前後した実験計画に対し,次年度に請求する研究費と合わせて計画遂行のために使用する.
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